
イチゴの促成栽培の農家で、10月にイチゴの葉が大きくなって悩んでいませんか?
- 9月下旬に植えてから10月下旬に葉が大きくなりすぎる
- コンパクトな草姿を目指しているのに、なぜか葉が大きくなる
- 葉が大きくなる原因がわからず困っている
- 株が大きくビニールマルチを張りづらい
イチゴは狙った草姿に育てて、生育をコントロールすることが大切です。
「10月に大きくなりすぎる」ということは、生育をコントロールできていない状況。
生育をコントロールできないと、収量が最大化できない、味がブレるなどのデメリットが起きます。
このような悩みを抱えている人は、ぜひ最後までお読みください。
原因1. 苗が吸収できる水が多い
イチゴの葉の大きさは、利用できる水の量の影響を強く受けます。
例えば、水が少なければ葉面積を小さくし、多ければ葉面積を大きくします。
そのため、葉が大き過ぎる原因は、たくさんの水を利用できるからです。
そして、そのたくさんの水を利用できる要因は、複数あります。
対策は、これらの水を減らすことです。
①潅水量が多い
点滴チューブや散水チューブで潅水を行っている場合は、その潅水が原因です。
最近は9月から10月上旬頃まで気温が高く、潅水量が多くなりやすいです。
また、イチゴの苗が小さなうちは必要な潅水量が少ないですが、多く与えてしまいがちです。
そのため、イチゴが根から吸収できる水が多くなり、葉が大きくなります。
②降水量が多い
土耕栽培の場合、地下の浸透水も影響します。
ハウスの外に降った雨水が地下水となって、ハウス内の畝に浸透します。
また、9月から10月はハウスの屋根のビニールを剥がしている農園も多いです。
その場合は、雨水が直接畝にあたり、土壌水分が高くなります。
秋雨といって、10月頃は雨が多く降ります。
そのため、イチゴの葉が大きくなりやすいです。
③株間が広い
イチゴの苗を畝や高設ベンチに植えるときに、株間が広いと葉が大きくなりやすいです。
理由は株間が広いと1株あたりの利用できる水が増えるからです。
逆に株間が狭いと、隣の株と競合するので、利用できる水が減ります。
④土の保水力が高い
土耕栽培の場合、その土地の土の性質の影響を受けます。
保水力が高い土の場合、葉が大きくなりやすいです。
高設栽培の場合、使用する培地の影響を受けます。
保水力を下げたい場合は、粒状資材のパーライトや粒状ヤシガラチップがおすすめです。
⑤ミストなどで散水している
9月から10月上旬の気温が高い場合、ミストなどでハウス内に散水をする場合があります。
その散水した水も一部は土に吸収されて、イチゴの根から吸収されます。
ミストの水もイチゴにとっては利用できる水です。
細霧冷房のようにすぐに蒸発する場合は影響しません。
⑥農薬散布や葉面散布をしている
農薬散布や肥料の葉面散布をしている場合、その薬液の一部も土に吸収されます。
そして、それがイチゴの根から吸収されます。
「潅水はやっていない!」という場合でも、農薬散布や葉面散布をしていれば、イチゴが利用できる水は増えます。
⑦定植前や直後の潅水量が多い
9月下旬から10月上旬に定植した場合、その定植前や直後の潅水量が多いと葉が大きくなりやすいです。
畝や培地は一度吸収した水を長期間保水します。
その水をイチゴが少しずつ利用して、葉が大きくなります。
原因2. 平均温度が高い
イチゴの葉の大きさは、温度の影響も受けます。
平均温度が高ければ大きくなり、低ければ小さくなりやすいです。
また、温度が原因の場合は、葉柄も長く伸びやすいです。
逆に温度は低い場合は、葉柄は短くなりやすいです。
平均温度を感じるのは、クラウンにある成長点付近です。
そのため、冷水や冷房を利用した「局所冷房」が有効です。
①昼の外気温が高い
まず、令和になってから9月から10月上旬にかけて、昼の外気温が高いです。
最高気温は25〜30℃程度あります。
これは平成時代の7月から8月の最高気温と同じです。
9月や10月上旬も一昔前の真夏だと考えましょう。
外気温についてはお天道様が決めることなので、どうしようもないです(対策は涼しい地域に引っ越すくらい)。
②昼のハウス室温が高い
昼のハウス室温が高いと、葉が大きくなりやすいです。
この原因は外気温が高いこととハウスの昇温対策が不十分なことです。
以下のような対策を講じましょう。
- ハウスに天窓をつける
- ハウスに空動扇をつける
- ハウスの妻面を全開にする
- ハウスの妻面の上部を開ける
- ハウスの妻面の上部に換気窓をつける
- ハウスの天井のビニールを外す
- ハウスに外気導入用の送風機とダクトをつける
- ハウスの天井に遮光シートをつける
- ハウスの天井のビニールに遮光塗料を吹き付ける
- 細霧冷房をつかう
- ミストをつかう
③夜の外気温が高い
イチゴの葉の大きさには、夜の温度も影響します。
平均温度が影響するためです。
10月は夜の温度が下がりやすいですが、9月は高いことが多いです
④夜のハウス室温が高い
夜のハウス室温を下げるために、ハウスを開放しましょう。
ただし、害虫の行動が活発な時期なので、害虫対策の防虫ネットや農薬散布もしましょう。
原因3. 苗の根の量が多い
最初に説明した「イチゴが利用できる水の量」には、根の量や活性も関係します。
根の量が少なければ吸収できる水が減り、根が多ければ吸収できる水が増えます。
そのため、苗の生育や品種特性も影響します。
培地が少ない育苗容器を使ったり、品種選定により草姿をコンパクトにできます。
①育苗容器の培地量が多い
育苗容器の培地量が多いと、根の量が多くなります。
例えば、すくすくトレイやカタツムリポット、アイポットは培地量が少ないです。
育苗ポットの9cmポットは培地量が多いです。
②育苗期間が長い
育苗期間が長いと根の量が多くなります。
③苗の状態が良い
夜冷処理や低温暗黒処理などを行うと、苗の状態が悪くなります。
また、猛暑の場合も高温で苗の状態が悪くなります。
苗を健全に育てられると、根も多くなります。
④品種特性で根張りが強い
イチゴの根の生育は、品種によって異なります。
根の生育が強い品種もありますし、弱い品種もあります。
促成栽培ならビビフルフロアブル
イチゴの促成栽培なら、ビビフルフロアブルを使うことでも、草姿をコンパクトにできます。
ビビフルフロアブルは、成長調整剤です。
有効成分はプロヘキサジオンカルシウム塩で、主な作用は「ジベレリン生合成阻害」です。
ビビフルフロアブルの使い方
目的は、「葉柄伸長抑制による苗の徒長防止」です。
徒長を抑えて、草姿をコンパクトにできます。
「苗の低温暗黒処理7日前~当日」か、「定植30~50日前」に1回だけ使えます。
500倍の希釈液を、葉にかけて使います。
まとめ
今回は10月にイチゴの葉が大きくなりすぎる原因と対策を紹介しました。
他にもイチゴ栽培に役立つ記事があるので、ぜひ読んでみてください。
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