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いちご栽培で使う展着剤で悩んでいませんか?

・展着剤って何?

・展着剤はなぜ使うの?

・どの展着剤がおすすめ?

と悩んでいる方に、展着剤についてご説明します。

特にいちご農園で使う展着剤で悩んでいる方は、ぜひ最後までお読みください。

農薬と一緒に使う展着剤とは

まずは展着剤について説明します。

展着剤とは、農薬と一緒に使うことで、農薬の効果を100%引き出す物です。

いちごなどの作物を育てている人は、展着剤を使って農薬の効果を最大限に発揮させましょう。

展着剤を使わないと起きる問題

では、展着剤を使わないとどんな問題が起きるのでしょうか?

  • 農薬の薬液が泡だらけになって散布しづらい
  • いちごの葉が農薬の薬液を弾いてしまい、農薬の効果を十分に発揮しない
  • いちごの葉が薬液を弾くので、薬液の使用量が多くなる
  • 農薬の成分がいちごの内部に浸透せず、農薬の効果を十分に発揮しない

展着剤を使わないと、このような問題が起きます。

展着剤のメリット

展着剤のメリットはこちらです。

  1. 農薬の薬液にできる泡を消して、散布しやすくする
  2. いちごの葉が農薬の薬液を弾かなくなり、農薬の効果を最大限に発揮する
  3. いちごの葉が薬液を弾かないので、薬液の使用量が少なく済む
  4. 農薬の成分がいちごの内部に浸透して、農薬の効果を最大限に発揮する

展着剤のデメリット

展着剤にもデメリットがあります。

  • 葉焼けや実の汚れなどの薬害を助長する場合がある
  • カブリダニなどの天敵製剤への影響が大きくなる場合がある
  • マイトコーネフロアブルなどの一部の農薬の効果を低下してしまう
  • 種類が多すぎて農薬ごとの使い分けが面倒
  • 効果がわかりにくい(展着剤を使わなくても良い)
  • 量の測定や混和の手間やミス
  • 展着剤のコスト(軽微ですが)

展着剤を使わない場合もある

ただし、すべての農薬や作物に展着剤を使うわけではありません。

農薬によってが展着剤が不要なものもあります。

濡れ性によって展着剤の必要性が違う

植物には「濡れ性」に違いがあります。

濡れ性とは、薬液をかけたときの濡れやすさ、弾きにくさです。

薬液のつきやすさ作物名
つきにくい(濡れにくい)イネ、ムギ、ダイズ、ネギなど
ややつきにくい(やや濡れにくい)★イチゴ、トマト、ナス、ジャガイモなど
つきやすい(濡れやすい)キュウリ、トウモロコシ、サツマイモなど

このように作物ごとに濡れやすさが違っています。

薬液がつきにくい作物には、必ず展着剤を使用しましょう。

薬液がつきやすい作物には、展着剤を使用しなくても構いません。

ただし、これは一般展着剤の話であり、機能性展着剤や固着性展着剤はまた話が別です。

いちごの葉の濡れ性は中程度

イチゴの濡れやすさは「中程度」です。

そのため、絶対に展着剤を使わないといけないわけではありません。

なかにはイチゴ向けの農薬散布で、展着剤を使わない農家もいます。

ただし、基本的にはイチゴ向けの農薬散布でも展着剤を使った方が良いといわれています。

展着剤の種類

次に展着剤の種類を説明します。

展着剤の種類と商品名

展着剤とは、主に一般展着剤、消泡性展着剤、機能性展着剤、固着性展着剤の4種類があります。

それぞれの展着剤は、非イオン系、非イオン+陰イオンなどの区分に分かれています。

そして、一つの区分の中でも、いくつかの商品に分かれています。

展着剤の種類区分商品名
一般展着剤非イオン系ネオエステリン
非イオン+陰イオンクミテン
グラミン
消泡性展着剤非イオン系ハイテンパワー
非イオン+陰イオングラミンS
機能性展着剤陽イオン+非イオンニーズ
非イオン系アプローチBI
ミックスパワー
その他スカッシュ
まくぴか
固着性展着剤パラフィン系アビオンE

除草剤にも展着剤

今回は説明しませんが、除草剤用の展着剤もあります。

除草剤をよく使う人は除草剤用展着剤も使用しましょう。

ラウンドアップやバスタには展着剤は使用しません。

展着剤の特徴

次に展着剤の特徴を説明します。

展着剤の特徴

展着剤の種類商品名特徴
一般展着剤クミテン薬液の付きを良くする。
クミテンS薬液の付きを良くする。
アグラー薬液の付きを良くする。
ネオエステリン薬液の付きを良くする。
消泡性展着剤ハイテンパワー薬液の泡を減らせる。
グラミンS薬液の泡を減らせる。
機能性展着剤まくぴか汚れ軽減効果がある。
スカッシュ薬害を助長する場合がある。
ニーズ薬害を助長する場合がある。
ドライバー薬害を助長する場合がある。
アプローチBI薬害を助長する場合がある。
固着性展着剤マイリノー薬液を固着させる。
アビオンE薬液を固着させる。

一般展着剤(スプレッダー)

薬液の表面張力を下げます。

薬液を弾きにくくします。

農薬が葉に付着して効果を発揮できるようになります。

消泡性展着剤

薬液の泡を消す効果があります。

薬液が泡だらけになることを防ぎます。

機能性展着剤(アジュバント)

基本的には一般展着剤と同様に薬液を弾きにくくします。

その効果に加えて、植物の組織内に農薬成分を浸透しやすくします。

農薬の効果が最大限に発揮されます。

ただし、カブリダニなどの天敵製剤への悪影響が大きいです。

固着性展着剤(スチッカー)

作物の葉についた薬液が固着します。

葉に薬液が固まって着いているので、農薬の効果が長続きします。

雨が降っても農薬の効果がなくなりにくくなります。

特に炭疽病対策の農薬と一緒に使うのがおすすめです。

展着剤の使い方

次に、展着剤の使い方を説明します。

農薬と展着剤を混ぜる順番

農薬と展着剤を混ぜるときには、順番があります。

基本的には以下の順番で混ぜてください。

  1. 農薬散布用のタンクに水を入れる
  2. 次に、展着剤を入れる
  3. 次に、乳剤を入れる
  4. 薬液をかき混ぜてから、次に水溶剤や水和剤、フロアブルを入れる
  5. 最後に、水を規定の量まで増やし、よく混ぜる

ただし、農薬によっては順番が別のものもあるので、農薬の注意事項を読んでそれに従ってください。

フロアブルに展着剤は不要?

「フロアブルは薬剤の粒子が細かいので展着剤は不要」という意見があります。

フロアブルには展着剤は使っても、使わなくても構いません。

乳剤に展着剤は不要?

「乳剤には界面活性剤が入っているから展着剤は不要」という意見があります。

しかし、農薬メーカーは乳剤にも展着剤の使用を推奨しています。

展着剤を使わない方が良い農薬

農薬の中には展着剤を使わない方が良いものもあります。

展着剤を使うと薬剤が出やすい殺菌剤

  • アミスター20フロアブル
  • ストロビーフロアブル

展着剤を使うと薬剤が出やすい殺虫剤、展着剤が不要な殺虫剤

  • コロマイト乳剤(一般展着剤のみ使用推奨)
  • ベネビアOD
  • アカリタッチ乳剤
  • サンクリスタル乳剤
  • ピタイチ
  • フーモン
  • ムシラップ
  • サンヨール液剤

いちご栽培におすすめの機能性展着剤(アジュバント)

いちご栽培におすすめの機能性展着剤(アジュバント)をご紹介します。

殺虫剤と一緒に使うのがおすすめな展着剤スカッシュ

殺虫剤と一緒に使う展着剤は、機能性展着剤のスカッシュがおすすめです。

主成分のソルビタン脂肪酸エステルは食品添加物として、パンやアイスクリームなどに使われています。

油滴が農薬を溶かし込み、殺虫剤の効果を高めてくれます。

殺菌剤と一緒に使うのがおすすめな展着剤アプローチBI

殺菌剤と一緒に使うのがおすすめな展着剤は、機能性展着剤のアプローチBIです。

農薬の粒子を細かくして、クチクラの割れ目や気孔から農薬を浸透させます。

一般展着剤は5,000〜10,000倍に希釈しますが、アプローチBIは200〜1,000倍に希釈して使用します。

アプローチBIは高濃度で使用することで、農薬を水により溶かすことができる「可溶化能」を発揮します。

可溶化能により、クチクラの割れ目や気孔から植物の表皮細胞層まで成分を浸透できます。

ただし、以下のストロビルリン系の農薬と一緒に使用すると薬害が発生しやすいので、使用しないでください。

  • シグナムWDG
  • ファンベル顆粒水和剤
  • アミスター20フロアブル
  • ファンタジスタ顆粒水和剤
  • ストロビーフロアブル

炭疽病対策の殺菌剤と一緒に使うのがおすすめな展着剤アビオンE

炭疽病対策の殺菌剤と一緒に使う展着剤は、機能性展着剤のアビオンEがおすすめです。

固着性があるので、葉に殺菌剤が残り、効果が長続きするからです。

キノンドーフロアブルにアビオンEを添加することで、炭疽病の予防効果が高まることがわかっています。

展着剤としても使える新しい農薬

フーモンは殺虫剤や殺菌剤として使えますし、展着剤としても使える新しい農薬です。

いちご栽培におすすめの展着剤まとめ

今回はいちご栽培におすすめの展着剤をご紹介しました。

いちごに農薬を使用するときにご参考になさってみてください。

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