「イチゴハウスにCO2発生装置がないけど、環境制御はどうしたらいいの?」
と悩んでいませんか?
『イチゴの収量をアップしたかったら、CO2を1,000ppmにしなさい』と言われても、
「うちのハウスにはCO2発生装置がないんだよ、どうしたらいいんだよ!?」と思いますよね。
そこで今回は、CO2発生装置がないイチゴ農園は、環境制御をどうしたらいいのか? 栽培のポイントは何かを解説します。
この記事を最後まで読んでいただくと、CO2発生装置がない農園はどうしたらいいのかを理解でき、CO2発生装置がなくても収量をアップできます。
イチゴの話がメインですが、他の野菜でも参考になります。
CO2装置がないイチゴ農園の問題
まずは、二酸化炭素発生装置がないイチゴ農園の問題を説明します。
イチゴの冬の収量アップには光合成が大切
イチゴの冬の収量アップには、光合成が大切です。
光合成でデンプンを作り、それを果実などに転流して、イチゴの実ができます。
また、光合成で作った養分が成長点に移動し、次の花を大きくします。
光合成量が少ないと、収量が減ります。
光合成には二酸化炭素の影響が大きい
光合成には二酸化炭素の影響が大きいです。
光合成には、日射、温度、飽差(湿度)も影響しますが、中でも二酸化炭素の影響は大きいです。
二酸化炭素濃度が大気中の400ppmよりも低いと光合成は抑制されます。
二酸化炭素濃度が700〜1,000ppmになると、光合成が促進されます。
CO2発生装置がないとCO2を施用できない
二酸化炭素発生装置がないと、二酸化炭素を施用できません。
そのため、ハウス内の二酸化炭素濃度を高くできません。
CO2発生装置がないと冬の収量が少なくなる
二酸化炭素発生装置がないと、光合成を促進できないので、収量を増やせません。
冬の1月から2月に収穫量が少ないイチゴ農園は、二酸化炭素不足の可能性があります。
メリットは初期費用とランニングコストが小さい
二酸化炭素発生装置がないメリットもあります。
二酸化炭素発生装置の初期費用がなく、初期投資額が小さくなります。
二酸化炭素発生装置は燃料を使用するので、装置がなければランニングコストが小さくなります。
CO2装置がない土耕栽培のイチゴ農園
まず、二酸化炭素発生装置がない土耕栽培を考えましょう。
土に有機物を入れると分解でCO2発生
土耕栽培の場合、土に有機物を入れると微生物の分解により、二酸化炭素が発生します。
そのため、土からの二酸化炭素の発生で、意外と二酸化炭素不足になりません。
土耕栽培は高設栽培よりも、二酸化炭素発生装置の必要性が低いです。
冬はハウスを夕方から午前に閉めCO2が高濃度
冬はハウスを夕方から翌日の午前まで閉めるので、その間に二酸化炭素濃度が高くなります。
発生源は2つあります。
一つは、土の微生物による有機物の分解です。
もう一つは、イチゴによる呼吸です。
イチゴは一日中呼吸を行い、酸素を吸って二酸化炭素を排出しています。
夜間は光合成をしないので、夜間は二酸化炭素濃度が高くなります。
CO2の測定で濃度を確認
土耕栽培のハウスの場合、二酸化炭素発生装置がなくても、意外と二酸化炭素飢餓になりません。
それを確かめるために、二酸化炭素のセンサーで濃度を測定するのがおすすめです。
SwitchBotの二酸化炭素センサーは安価でおすすめです。
換気温度が低く昼間の温度が低いが高設よりも地温は高め
二酸化炭素発生装置がある栽培よりも、換気温度が低く、昼間のハウス室温が低くなります。
そのため、日平均温度が低くなり、草勢が低下する可能性があります。
しかし、高設栽培と比べると、土耕栽培の方が地温が高めなので、高設栽培よりは草勢を維持しやすいです。
夏の土作りで有機物を入れると二酸化炭素が増える
イチゴの土耕栽培では、夏に土作りをします。
そのときに、植物残渣や堆肥などの有機物を投入すると、土からの二酸化炭素の発生が増えます。
土作りのときに有機物をたくさん入れましょう。
CO2装置がない高設栽培のイチゴ農園
次は二酸化炭素発生装置がない高設栽培のイチゴ農園の場合です。
土からのCO2発生がなくCO2不足
高設栽培の場合、地面には防草シートを貼っており、微生物による有機物の分解がほとんどありません。
そのため、地面の土から二酸化炭素は発生しません。
また、培地の中にも有機物が少なく、量も少ないため、培地からの二酸化炭素の発生もほとんどありません。
そのため、高設栽培では二酸化炭素不足になります。
早朝は夜間の呼吸で二酸化炭素濃度が高い
早朝のハウス内は二酸化炭素濃度が高くなります。
それは夜間にイチゴの呼吸で二酸化炭素が増えるためです。
早朝は二酸化炭素濃度が600ppmくらいになることが多いです。
冬のCO2飢餓を防ぐために昼は400ppmで換気
冬の二酸化炭素飢餓を防ぐためには、昼は換気する必要があります。
日の出から1時間後には日射が十分になり、光合成が促進されます。
その結果、二酸化炭素が気孔からイチゴに吸収され、酸素が放出されます。
そして、ハウス内の二酸化炭素が不足し、二酸化炭素の飢餓状態になります。
そのままだと光合成が著しく抑制されるので、CO2が400ppm以下になる前にハウスを換気して、外気の二酸化炭素を供給しましょう。
おそらく、10時から11時頃には400ppm以下になると思います。
日平均温度が低くなりやすく草勢低下か燃料費増加
冬の昼にハウス室温が低いときから換気をしないといけないので、日平均温度が低くなりやすいです。
イチゴは冬に日平均温度を15℃程度で維持すると、草勢が維持しやすいです。
しかし、二酸化炭素飢餓を防ぐことを優先して換気すると、温度が低くなります。
そのため、草勢が低下しやすいです。
草勢低下を防ごうと思うと、夜間の室温を上げる必要があり、燃料費が増えます。
秋から冬の電照で葉面積確保
冬の草勢低下を防ぐために、秋から冬にかけて電照を行い、葉面積を確保しましょう。
秋に予め葉を大きくしておくことで、草勢低下を食い止めやすくなります。
冬も電照を継続しましょう。
電照ではなく、ジベレリン処理をする方法もあります。
草勢が強い品種や培地加温で草勢維持
草勢が強い品種や培地加温で草勢維持を目指すのがおすすめです。
草勢が強い品種であれば、昼間の温度が低くても草勢を維持しやすいです。
また、培地加温で昼や夜の根域温度を上げると、草勢を維持しやすいです。
培地加温についてはこちらをご覧ください。
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極早生品種や夜冷処理で年内収量確保
経営面を考えると、極早生品種や定植前の夜冷処理により、頂花房の花芽分化を前進化させるのも有効です。
なぜかというと、二酸化炭素発生装置がないと1月から2月の収穫量が少ないので、11月から12月の単価が高い年内収量を増やすことで利益を確保できるからです。
光合成促進よりも花芽分化や草勢維持を最適化
二酸化炭素濃度が高められないと、光合成促進ができません。
光合成を抑制しないように、冬の昼間の温度が低くなり、草勢が低下しやすいです。
そのため、環境制御では、光合成促進よりも花芽分化や草勢維持を最適化しましょう。
夏に頂花房の花芽分化を起こさせ、秋には草勢を強くして冬に備えましょう。
まとめ 炭酸ガス装置ないイチゴ農園対策
今回は、炭酸ガス装置がないイチゴ農園向けに環境制御を説明しました。
炭酸ガス装置がない農園では、それに応じた環境制御をしましょう。
炭酸ガス装置がない農園で、炭酸ガス濃度を高める方法はこちらの記事をお読みください。
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