
「促成栽培のいちごが芯止まりしたけど、なぜだろう?」と悩んでいませんか。
- いちごが芯止まりしてしまった
- 芯止まりの原因を知りたい
- 芯止まりの対策を知りたい
- 芯止まりを減らしたい
このような方はぜひ最後までお読みください。
いちごの芯止まりの原因と対策を把握でき、いちごの収量減少を防げます。
いちごの芯止まり(芽なし)とは

まずはいちごの芯止まりについて基本的なことを説明します。
意外と理解していない人が多く、地域差もあるのでぜひお読みください。
いちごの芯止まりの症状
「芯止まり」とは、いちごの成長点が消失し、芽から新しい葉や花房が出てこなくなる現象です。
芯止まりが発生すると新しい花房が出てこないので、収穫量が減少します。
いちご農園の売上減少に繋がる、よくない生理現象です。
いちごの芯止まりの呼び方
芯止まり症状には地域ごとにいろんな呼び方があります。
人によって言い方や判断基準が異なるので、人と話す時には確認しながら話した方が良いです。
いちごの芯止まりの呼び方
①「芯止まり(心止まり)」という方がいます。
②「芽なし(芽なし株)」という方もいます。
いちごの芯止まりの判断基準
①芽が1個のときに、主芽が芯止まりしたら「芯止まり」と判断する人がいます。
②芽が2個以上のときに、1個の芽が芯止まりしたら「芯止まり」と判断する人もいます。
③芽が2個以上のときに、すべての芽が芯止まりしたら「芯止まり」と判断する人もいます。
芽に対する「芽なし芽」という判断と、株に対する「芽なし株」があります。
これは人によって判断基準が違うので、相手に確認しながら会話しましょう。
芯止まりの種類
芯止まり症状にはいくつかの種類があります。
①成長点から花房が出ずに、新しい葉や花房が出てこない
成長点から花房が1本も出ずに、新しい葉や花房が出てこないパターンです。
これは、促成栽培の育苗中や促成栽培の定植直後に起きやすいです。
発生が多い時期は、8月から11月です。
②成長点から1本の花房が出た後に、新しい葉や花房が出てこない
花房が1本出た後に、次の葉や花房が出てこないパターンです。
これは、促成栽培の頂花房発生時期に多いです。
発生が多い時期は、10月から12月です。
③成長点から2本の花房が出た後に、次の葉や花房が出てこない(ダブル花房)
成長点から2本の花房が出た後に、次の葉や花房が出ないパターンは「ダブル花房」と呼ぶことが多いです。
夏秋栽培の初夏から夏の時期に発生が多いです。
特に発生が多い時期は、5月から7月です。
日本のいちご品種は、花房が根元で複数に分岐します。
花房の根元を確認して、1本の花房が根元で分岐した花房ではないことを確認しましょう。
ダブル花房の場合は、花房の根元から分かれていて、完全に2本の状態です。
ダブル花房は一時的に花房が通常の2倍になるので、収穫量が2倍になります。
そのため、着果負荷も2倍になり、なり疲れが発生しやすいです。
④成長点をイモムシなどに食べられて芽が消失(食害)
珍しいパターンですが、成長点をイモムシなどの害虫に食べられて芽がなくなる場合があります。
広い意味では「芽なし株」ですが、今回説明する原因や対策とは別物です。
いちごの分化の基礎知識
芯止まりを理解するためには、分化についての基礎知識が必要になります。
これを理解しないために、芯止まりを誤解している人も多いです。
いちごの成長点とは
いちごの成長点は、芽とも呼ばれます。
成長点はいちごの葉の付け根がついてるクラウンの頂点にあります。
また、葉の付け根にも成長点があり、そこから脇芽やランナーが発生します。
いちごの分化とは
いちごの分化とは、成長点から葉や花房、ランナーなどが発生することです。
クラウンの頂点にある「頂芽」の場合、成長点から葉が分化したり、成長点自体が花房に変化します。
頂芽の成長点自体が花房に変化した後は、その「直下にある成長点」が頂芽になります。
栄養成長の段階では、葉やランナーが発生します。
生殖成長の段階では、花房が発生します。
芯止まりの生理現象としての理解
芯止まりという生理現象は、一般的には「クラウンの頂点にある頂芽の消失」を指します。
栽培上は、「主芽」と呼ばれます。
主芽の成長点が何らかの原因で消失することで、芯止まりが発生し、新しい葉や花房が出なくなります。
芯止まりが目に見える時期と発生時期のズレ
芯止まりを目で見て確認できるのは、新しい葉や花房が発生しなくなってからです。
しかし、実際に成長点の消失が起きている時期は、目で見て確認するよりも一ヶ月ほど前です。
その理由は分化してから芽の外に出るまで、一ヶ月ほどの時間差があるためです。
これを理解していないと、芯止まりの発生時期を誤ってしまいます。
芯止まりはいちご特有の生理現象ではない
ちなみに芯止まり症状はいちご特有の症状ではありません。
トマトなどの他の野菜類でも芯止まりが発生します。
芯止まり(芽なし)の原因

次に芯止まりの原因を説明します。
芯止まりにはいくつかの種類があり、その原因は異なります。
「芯止まりの原因は一つしかない」と誤解しないようにしましょう。
品種により発生しやすさが異なる
まず最初に理解すべきは、芯止まりの発生率は品種によって異なる点です。
芯止まりが起きやすい品種もあれば、起きにくい品種もあります。
基本的には、花芽分化しやすい早生や極早生の品種の方が芯止まりが発生しやすいです。
育苗中の極端な肥料切れ
いちごの促成栽培は、7月から9月頃に育苗を行います。
いちごが欲するままに施肥を行うと、体内窒素含有量が多くなり、花芽分化しにくい状態になります。
それを防ぐために8月から9月に「窒素中断」と呼ばれる減肥処理を行い、花芽分化を促進します。
その窒素中断が過剰になると、芯止まりが発生しやすくなります。
過剰な肥料切り、長期間の肥料切り、保肥性が低い育苗培土、小型の育苗容器、育苗培土のpH異常、過剰な遮光、検鏡を行わない、猛暑による高温障害などでも発生が助長されます。
これが原因の芯止まりは8月から9月に発生します。
定植時の活着不良
いちごの促成栽培では、9月から10月に苗の定植を行います。
苗を植えるときには窒素飢餓の状態で、芯止まりが起きやすい状態です。
定植後に肥料を吸収できれば、芯止まりが発生しにくいです。
定植時に培地の乾燥、培地の過湿、根部の密着不足、土壌pHやECの異常、根の損傷などにより活着不良になると肥料の吸収が阻害されます。
その結果、窒素飢餓状態が長く続き、芯止まりが発生しやすくなります。
これが原因の芯止まりは9月から11月に発生します。
定植後の異常な高温・低温(早植え・遅植え)
いちごの促成栽培では、一般的に9月から10月に定植します。
しかし、極早生品種の場合は高温の8月に定植する場合があります。
逆に晩成品種や育苗や設備の問題などで遅植えした場合は、11月から12月に植える場合もあります。
そのときに環境制御を行いハウス室温を生育適温にできれば問題ありませんが、異常な高温や低温に晒されると芯止まりが起きやすくなります。
高温や低温により肥料の吸収が妨げられたり、植物ホルモンのバランスが崩れるためです。
これが原因の芯止まりは8月から9月や、11月から12月に発生します。
夏秋栽培の急激な成長(四季成り性品種)
いちごの夏秋栽培では、四季成り性品種の苗を2月から4月に定植し、6月か7月から収穫を開始します。
2月から4月に定植した後に、いちごの生育を過剰に促進させると、ダブル花房による花芽分化が起きやすくなります。
原因は四季成り性品種の栄養成長と生殖成長の過剰な促進です。
四季成り性品種は一季成り性品種と違い、栄養成長と生殖成長が同じ条件で促進されるためです。
一季成り性品種は栄養成長と生殖成長が同じ条件では促進されません。
これが原因の芯止まりは5月から6月に発生します。
芽なし株の原因まとめ
芽なし株が発生する原因はいくつかあり、その原因や発生時期が異なります。
それぞれの原因ごとに対策が異なるので、まずは原因を特定しましょう。
原因を特定せずに闇雲に対策をすると、逆に芯止まりが増える原因になりますよ。
いちごの芯止まりの対策
次にいちごの芯止まりの対策を説明します。
育苗中に極端な肥料切れを起こさせない
花芽分化を促進するために、窒素中断を行いますが、極端な肥料切れを起こさせないようにしましょう。
極端な肥料切れをすると、育苗中や定植直後の芯止まりが増えます。
極端な肥料切れを防ぐために、育苗中に葉柄の窒素測定を行うのがおすすめです。
窒素中断以外の花芽分化促進処理を行う
花芽分化を促進するためには、窒素中断以外の方法があります。
例えば、株冷や夜冷処理、間欠冷蔵処理などの苗の冷却処理です。
一季成り性品種は苗を冷却・短日処理することで花芽分化を促進できます。
その場合も窒素中断はした方が効果が出やすいですが、窒素中断だけで花芽分化を目指すよりは、極端な肥料切れを起こしにくいです。
株冷(低温暗黒処理)ではなく夜冷処理を行う
花芽分化促進処理として、株冷と呼ばれる低温暗黒処理がありますが、苗への負担が大きいです。
そのため、株冷よりは苗のダメージが小さい夜冷処理の方がおすすめです。
育苗ハウスの高温対策をする
育苗ハウスのハウス室温が高いと、根の生育が劣り肥料吸収が減り、芯止まりが起きやすいです。
育苗ハウスの高温対策をして、生育適温を目指しましょう。
ただし、猛暑の影響でそれが難しくなっています。
検鏡を行い花芽分化確認後に液体肥料を与える
検鏡を行い、花芽分化のタイミングを確認しましょう。
花芽分化を確認できたら、吸収が早い液体肥料を与えて、窒素飢餓から回復させましょう。
定植してから根が伸びるまで1〜2週間かかるため、ポットの培地に液体肥料を与えることで活着不良を防げます。
本圃ハウスの高温対策をする
残暑の影響で9月から10月の気温が高くなっています。
その結果、9月から10月に本圃の高温対策をしないと、生育適温以上の高温になります。
その影響で活着不良が起きたり、高温による生育不良で芯止まりが発生します。
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定植後に窒素を含む肥料を葉面散布する
定植しても根が伸びるのに1〜2週間かかり、その間に窒素飢餓が進みます。
また、定植時の根傷みにより活着が遅れる場合もあります。
そのため、葉から肥料を吸収できる葉面散布がおすすめです。
極端な早植えや遅植えをしない
8月定植、11月定植のような極端な早植えや遅植えはやめましょう。
もし早植えや遅植えをする場合は、環境制御によりハウス室温を生育適温にしましょう。
しかし、そのためには電気代や燃料代などのコストがかかります。
花芽分化を促進する資材を使用しない
肥料やバイオスティミュラントの中には、いちごの花芽分化を促進する効果を謳う商品があります。
その資材の影響で花芽分化が過剰に促進され、芯止まりが起きる場合があります。
芯止まりが問題になっている場合は、そのような資材を使うのは控えましょう。
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夏秋栽培で春に生育を促進しすぎない
いちごの夏秋栽培では、定植後の春に生育を促進しすぎると、ダブル花房による花芽分化が多くなります。
そのため、定植後は生育を抑える肥培管理や環境制御をしましょう。
芽なしの発生が多いいちご品種
芽なしの発生が多いいちご品種を紹介します。
一季成り性品種
育苗方法や栽培方法でも変わりますが、以下の品種は芽なしになりやすいので、特に注意しましょう。
- とちおとめ
- さちのか
- 紅ほっぺ
- 章姫
- 恋みのり
- 奈乃華
- まりひめ
四季成り性品種
育苗方法や栽培方法でも変わりますが、以下の品種は芽なしになりやすいので、特に注意しましょう。
- 信大BS8-9
- エンジェルエイト
芽なしの注意点・発生後の対処方法
最後に芽なし株の注意点や発生後の対処方法を紹介します。
育苗中なら芽なし苗を廃棄
育苗中に芽なし苗が発生したら、その苗は廃棄しましょう。
芽なし苗がないか、見回り確認をしましょう。
芽なし苗の発生を予測して、予め苗を多めに作るのがおすすめです。
定植後で開花前なら予備苗と植え替え
定植後で開花前なら予備苗と植え替えをしましょう。
そのために植え替え用の予備苗を予め用意しておくのがおすすめです。
その株に脇芽があれば脇芽の成長を待つ
芯止まりといっても脇芽が発生している場合があります。
特に芯止まりが発生すると頂芽優勢が崩れるため、脇芽の発達が促進されます。
そのため、脇芽があればそれを残し育てることで、主芽の代わりにできます。
他の株と比べて花芽の出蕾がやや遅れますが、収穫量は確保できます。
脇芽がなければ収穫終了後に抜き取り
芯止まりした株で、脇芽がまったく出てこない場合もあります。
その場合は収穫が終わり次第、その株を抜き取りましょう。
そのまま残しておくと、害虫の発生源になったり、隣の株と肥料や水、光の競合になり、足を引っ張るためです
芯止まりで欠株になった場所の両脇の株は芽数を多くしましょう。
そうすることで、欠株のスペースに降り注ぐ日射を有効活用できます。
まとめ
今回はいちごの芯止まりの原因と対策を説明しました。
芯止まりは人によって定義が異なるので、前提条件を確認しながら会話をしましょう。
芯止まりが発生すると新しい花房が出てこないので、収穫量が激減します。
芯止まりを肥培管理や環境制御、品種選択でコントロールしましょう。
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