いちご農園を経営する皆さん、こんにちは。
あなたは、あなたのいちご農園のキャッシュ・フロー(資金繰り)を把握していますか?
キャッシュが尽きる時期、もしくはキャッシュが2倍になる時期を答えてみてください。
もし、答えられないのであれば、ぜひこの記事を最後までお読みください。
いちご農園の経営において、キャッシュ・フロー(CF)を把握することは非常に重要です。
この記事では、あなたのいちご農園のキャッシュ・フローを把握する方法とその重要性について詳しく解説します。
キャッシュ・フロー計算書とは?
キャッシュ・フロー計算書(資金繰り表)は、特定期間における企業の現金収入と支出を明示する財務諸表の一つです。
この計算書は、経営者や銀行が会社の財務状況を理解し、適切な経営判断を行うための重要なツールです。
キャッシュ・フロー計算書は過去、資金繰り表は未来のお金の動き
キャッシュ・フローは過去のお金の動きを表し、資金繰りは未来のお金の動きを表すと言われています。
実際の農業経営では、過去と未来の両方のお金の動きを把握することが大切なので、今回はまとめてご紹介します。
いちご農園におけるキャッシュ・フロー計算書の重要性
いちご農園を経営する際には、収入と支出のバランスを正確に把握することが大切です。
キャッシュ・フロー計算書を活用することで、季節ごとの収入や支出を見極め、適切な資金計画を立てることができます。
黒字倒産のリスクを回避できる
いちご農園は売上がある時期とない時期があり、収入が一定ではありません。
また、経費の支払いも多い月と少ない月があり、支出が一定ではありません。
そのため、現金のやり繰りを意識しないと、資金繰りがうまくいかず、黒字倒産になる危険性があります。
支払いの遅延を回避できる
いちご農園は現金に余裕がない農園が多いです。
そのため、資金繰りを意識しないと現金が不足してしまいます。
従業員への給与の支払いや取引先への支払いを待ってもらうなんてことは嫌ですよね?
利益が残りやすい経営に変わる
「ちゃんと黒字なはずなのに、なぜか現金が手元に残らない」と悩んでいませんか?
農業経営では、売掛金の入金のタイミングが遅いことや設備投資の減価償却の影響で、会計上のお金の動きと実際のお金の動きにズレが生じます。
例えば、今月にイチゴを100万円分も売ったとしても、その入金は1〜2ヶ月後で、それまでは手元に100万円はありません。
1,000万円の設備投資をすると手元から1,000万円がなくなりますが、減価償却の償却期間が14年の場合、会計上でその期に経費にできるのは70万円程度です。
このお金の動きはキャッシュ・フロー計算書や資金繰り表を作成しないと、把握できません。
キャッシュ・フロー計算書の基本構成
次にキャッシュ・フロー計算書の基本構成を紹介します。
キャッシュ・フロー計算書は活動ごとに3つの部門に分かれています。
お金をごちゃ混ぜにせずに、整理して考えることが大切です。
営業活動によるキャッシュ・フロー
日常的な農業活動から生じる現金の流れを示します。
収穫物の売上や経費などが含まれます。
例えば、イチゴの実を販売して得られた売上や、イチゴ栽培のために購入した肥料の費用などです。
イチゴ農園のキャッシュ・フロー計算書のメインはこの部門です。
イチゴ農園の本業に関する部分なのでここが最も重要で、プラスになっているべきです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
農園の拡大や設備投資に関連する現金の流れを示します。
農地の購入や新しい設備の導入(ビニールハウスや機械)などが含まれます。
ここを見ると、「将来を見据えた投資をどれくらいしているか?」がわかります。
そのため、ここはマイナスでも構いません。
財務活動によるキャッシュ・フロー
資金調達や借入金の返済など、財務に関連する現金の流れを示します。
銀行からの融資や親戚からの借金などの資金調達、その借入金の返済が含まれます。
例えば、「銀行から3,000万円を借りて、その金利が1%で、毎年200万円ずつ返済する」というお金の動きはここに記載します。
営業CFがプラスであれば、財務CFはマイナスでも構いません。
キャッシュ・フロー計算書を作成するメリット
キャッシュ・フロー計算書を作成するメリットを紹介します。
資金管理の向上
現金の流れを正確に把握することで、資金不足や過剰を防ぐことができます。
お金が足りなくなることや、逆にお金をムダに休ませることを防げます。
経営判断の迅速化
財務状況をリアルタイムで把握することで、迅速かつ適切な経営判断が可能となります。
そのため、キャッシュ・フロー計算書は週次もしくは月次で確認しましょう。
銀行へのアピール
明確な財務状況を示すことで、銀行からの信頼を得ることができます。
お金が必要なタイミングで銀行からお金を借りやすくなります。
将来計画の策定
過去のデータを基に将来の収支を予測し、長期的な経営計画を立てることができます。
お金の動きのパターンがつかめれば、計画の精度が上がり、積極的な経営戦略を打てます。
いちご農園向けのキャッシュ・フロー計算書の作成手順
いちご農園のキャッシュ・フロー計算書の作成手順を紹介します。
営業CF、投資CF、財務CFのそれぞれを作成し、合算させます。
週ごと、月ごと、年ごとなどの単位で作成します。
収入の把握
収穫物の売上や補助金など、すべての収入源をリストアップします。
生のいちご、冷凍いちご、いちごの加工品、作業委託の受託などすべてをまとめます。
補助金などの助成金も忘れずに。
支出の把握
苗の購入費、農薬や肥料の費用、人件費、設備の維持費など、すべての支出項目をリストアップします。
損益計算書(PL)があれば、把握できているはずです。
現金収支の計算
収入から支出を差し引き、月ごとの現金収支を計算します。
もっと細かい数字が必要な場合は週ごとで計算し、もっと長期間の数字が必要な場合は年ごとに計算してください。
未来のキャッシュ・フロー予測
過去のデータを基に、将来の収支を予測します。
特に、収穫期や設備投資のタイミングを考慮して計画を立てます。
定期的な見直し
実際の収支と予測を定期的に比較し、必要に応じて計画を修正します。
計画と実際の数字の比較を行い、ズレを調べましょう。
そして、ズレを直して計画の精度を上げていきます。
まとめ:キャッシュ・フロー計算書で農園経営を強化
キャッシュ・フロー計算書は、いちご農園の経営を成功に導くための重要なツールです。
しかし、ほとんどのいちご農家ではキャッシュ・フローを正確に把握していません。
収入と支出のバランスを正確に把握し、適切な資金管理を行うことで、安定した経営基盤を築くことができます。
今すぐキャッシュ・フロー計算書を作成し、あなたの農園の未来を見据えた経営を始めましょう。
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