いちごで新規就農したいけど、何をしたらいいのかわからないという人は多いですよね。

そこで今回は、いちごで新規就農したい人向けの情報をまとめました。

  • いちごで新規就農するための方法
  • いちごで新規就農する事例
  • いちごで新規就農するために必要なお金

このような悩みや疑問を抱えている人はぜひ最後までお読みください。

いちごは新規就農する作物として向いているのか?

まずは、いちごは新規就農する作物として向いているのかを説明します。

いちご農園・いちご農家のビジネスモデルは?

いちご農園・いちご農家のビジネスモデルを説明します。

ビジネスモデルイチゴの主な販売先特徴
農協出荷農協買い取り量が安定している
市場出荷市場大量に買い取ってもらえる
価格が変動する
契約出荷仲卸業者/商社
スーパーマーケット/ケーキ屋
契約した数量と金額で買い取ってもらえる
委託販売直売所/道の駅/ECサイト/産直サイト出荷量の融通がきく
直接販売顧客/自社のウェブサイト手数料がかからない
観光農園来場者/観光客いちご狩りで摘み取り体験を提供する
ふるさと納税自治体自治体のふるさと納税の返礼品として提供する
輸出東南アジアいちごを海外へ輸出する

いちごビジネスの特徴は?

いちごビジネスの特徴を説明します。

いちごビジネスは、他の農作物と比較すると特徴がわかりやすいです。

いちごはタマネギやキャベツと違い、作物名ではなく「あまおう」や「とちおとめ」のように品種名やブランド名で販売されます。

いちごはリンゴやメロンと違い、収穫してから日持ちする日数が短く、皮が薄いので長期輸送で傷みやすいです。

作物の種類特徴カテゴリ
いちご品種名やブランド名で販売される
ブランド化が進んでいる
皮が柔らかく日持ちしない
いちご狩りが人気
ショートケーキ用の需要が多い
いちごジャムなどの加工品が人気
嗜好品
米/麦/大豆作物名で販売される
殻を持ち日持ちする
生活必需品
果物品種名やブランド名で販売される
皮が硬く日持ちする物が多い
嗜好品

いちご栽培の特徴は?

いちご栽培の特徴は、以下のとおりです。

  • フルーツの中では、開園から収穫までの期間が短い
  • 初期投資額が果樹や野菜と比べると大きい
  • 農作業の機械化率が果樹や野菜と比べると低く、人海戦術に頼っている
作物の種類開園から収穫までの期間初期投資額作業の機械化率
いちご3カ月大きい低い
果樹36カ月小さい高い
野菜1〜6カ月小さい高い

いちごを儲かるシャインマスカットと比べると?

例えば、いちごとシャインマスカットを比較してみましょう。

シャインマスカットはここ10年ほど「儲かる」と人気の果樹です。

同じ売上を目指す場合、いちごの方が小さな農地で達成できます。

同じ売上を目指す場合、いちごの方が短い年数で到達できます。

同じ売上を目指す場合、いちごの方が初期投資額が大きくなります。

いちごを儲かるブロッコリーと比べると?

次は、いちごとブロッコリーを比較してみましょう。

ブロッコリーはここ10年ほど「儲かる」と人気の野菜です。

同じ売上を目指す場合、いちごの方が小さな農地で達成できます。

同じ売上を目指す場合、ブロッコリーの方が短い年数で到達できます。

同じ売上を目指す場合、いちごの方が初期投資額が大きくなります。

いちごの作型は?

いちごの作型を紹介します。

いちごの最も一般的な作型は、促成栽培です。

日本の作型は促成栽培が90%以上を占めているので、日本では「いちご栽培=促成栽培」を指します。

作型苗の定植時期収穫時期主な産地
促成栽培9月12月から翌年5月全国
半促成栽培9月4月から6月北海道
夏秋栽培3月6月から11月北海道/東北/長野県
周年生産3月/9月1月から12月北海道/東北/長野県

いちご栽培のスケジュールは?

いちご栽培のスケジュールを紹介します。

この栽培スケジュールは促成栽培のスケジュールです。

夏に苗を作り、秋に苗を植えて、冬から春に収穫します。

ハウス・作業
育苗ハウス育苗
夜冷処理
親株の定植育苗
本圃ハウス苗の定植収穫収穫片付け
土壌消毒

いちご農家の特徴は?

農家の平均年齢は69歳です。

いちご農家の平均年齢も同程度の年齢だと考えられるので、70歳程度でしょう。

いちごは新規就農者が多いので農家全体よりもやや低めだと想定しても、平均年齢は60歳程度でしょう。

いちご農家は47都道府県のすべてに存在しています。

いちごが新規就農に向いている理由

いちごが新規就農に向いている理由を紹介します。

  • フルーツだが開園から一年以内に売上が見込める
  • 養液栽培でマニュアル化しやすい
  • 高設栽培なら土作りが不要で1年目から収穫量が確保できる
  • スーパーマーケットやケーキ屋、いちご狩りなどのニーズが多く、需要量が安定している
  • 初期投資額が大きく、栽培が難しいので参入障壁が高く、生産量が急に増えない
  • いちごは価格が暴落したことがなく、市場卸売価格が10年以上少しずつ上昇している

逆にいちごが新規就農に向いていない理由は?

そうはいっても、いちごが新規就農に向いていないという意見もあるはずです。

どのような意見があるでしょうか?

  • 初期投資額が大きすぎて新規就農者には用意できない
  • 鉄や肥料など資材代が高騰しており、新規参入は困難
  • 重油や灯油代が高くなりすぎて、冬に燃料が必要だと利益が出ない
  • 栽培が難しすぎて新規就農者のような経験が浅い人には困難
  • いちごの作業は機械化が難しく人海戦術に頼っているので、人手不足が深刻な田舎では困難
  • 日本の品種が韓国や中国に盗まれているので、将来は韓国や中国産のいちごに負ける
  • 植物工場でいちご生産が増えているので、将来は植物工場産いちごに負ける
  • 猛暑や線状降水帯、大型台風などの自然災害が増えているのでビニールハウス栽培は不可能になる

いちごで新規就農する方法は?

いちごで新規就農する方法を紹介します。

いちごで新規就農する手段

  • JAなどの研修施設で研修を受けて、JAの支援を受けて就農する
  • 農家で研修を受けて、認定新規就農者になり就農する
  • 自己資金で新規就農する
  • 実家の農園を継ぐ(跡継ぎ)
  • 実家がいちご農家の人と結婚する(婿入り/嫁入り/農家婚活)
  • 他人が経営してきた農園を引き継ぐ(事業継承)

いちごで新規就農を支援する組織

  • JA
  • 農業改良普及センター
  • 農業試験場
  • 農業大学校

いちごで新規就農者を募集している地域

47都道府県のすべてでいちご農家になりたい人を募集しています。

ただし、市町村によってはいちごは推奨していない場合や、新規就農者を募集していない地域もあります。

地域名いちご農家の状況
北海道自治体数が多いので、新規就農者を募集している自治体が複数あります
冬の寒さが厳しいので、促成栽培は少ないです
夏秋栽培や半促成栽培、露地栽培があります
東北宮城県が促成栽培が多いです
青森県が夏秋栽培が多いです
夏秋栽培も促成栽培も両方あります
関東促成栽培が多いです
特に栃木県はいちご農家が多いです
群馬県、茨城県、千葉県、埼玉県、神奈川県も新規就農者が多いです
中部促成栽培が多いです
特に静岡県、愛知県が多いです
長野県や山梨県では夏秋栽培もあります
北陸冬の日射量が少ないので、いちご農家が少ないです
逆にここ数年、いちご狩りが増えてきました
関西奈良県がいちご農家が多いです
日本海側はいちご農家が少ないです
四国香川県と徳島県がいちごの産地です
中国瀬戸内海側はいちご農家が多いです
日本海側側はいちご農家が少ないです
九州特に福岡県があまおう人気の影響で新規就農者が多いです
熊本県、佐賀県も多いです
沖縄昔はいちご農園はありませんでしたが、今は何軒もあります

いちご農家の研修スケジュール

項目1年目2年目3年目
いちご栽培栽培の基礎栽培の実践農場長
農業経営農業の基礎農業経営の基礎農業経営の実践
就農・地域交流農地探し
地域交流
農地決定
地域交流
設備決定
各種申請

いちごで新規就農したい人は何をすべき?

  • どんないちご農家になりたいのか、理想の姿をイメージする
  • ネットで調べたり、人と会ったり、イベントに参加して情報を得る
  • 短期間の農業体験をする
  • 自己資金を貯める
  • 家族の理解を得る
  • 就農する地域を決める
  • 就農する地域で研修を受ける

いちごで新規就農する予算は?

いちごで新規就農する予算について説明します。

いちご農園の農地面積・栽培規模は?

いちご農園の規模感は、10a(1反)を一つのユニットとして考えます。

10aは1,000㎡で、およそ300坪です。

既存の家族経営のいちご農園の規模は20〜30a程度が多いです。

新規就農者の1年目の栽培規模は、10〜20a程度が多いです。

いちご農家1名で管理できる面積は?

農家1名で管理できる栽培面積は、5〜15a程度です。

作業が早い人や自動化が進んでいる設備、工数が少ない場合には、1名で15a程度を管理できます。

逆にそうでない場合には、管理できるのは1名で5a程度です。

夫婦2名で管理できる栽培面積は、10〜20a程度です。

繁忙期にはパート雇用で作業者を雇用します。

育苗をするかどうか、パッケージセンターにパッキングを外注化するかでも大きく変わります。

いちごで新規就農する初期投資額は?

いちごで新規就農する場合の初期投資額は、3,000万円程度です。

安い場合でも1,000万円程度はかかることが多いです。

高い場合では5,000万円程度かかる場合もあります。

大規模農園は3億円以上の建設費がかかっている施設もあります。

初期投資額を抑える方法

初期投資額を抑えるためには、以下のような方法があります。

  • 親戚や知り合いから無料で設備をもらう
  • 親戚や知り合いから機械類を無料でもらう、借りる
  • 既存の栽培設備一式を借りる
  • 新規就農者向けの栽培設備をリースで借りる
  • 既存の栽培設備一式を中古で買う
  • 中古のハウスを買う
  • 中古の高設ベンチや養液システムを中古で買う
  • 動力噴霧機などの機械類を中古で買う
  • 軽トラや軽バンなどの車をリースで借りる
  • 家族や友人に農作業を手伝ってもらう

いちごで新規就農する10aの売上は?

いちごで新規就農する売上は、10aで300〜1,000万円程度です。

いちごの収穫量は全国平均が10aあたり3,000kg程度です。

いちごの促成栽培の市場卸売価格はキロ1,500円程度です。

例えば、3,000kg×1,500円/kg=450万円になります。

新規就農の1年目は予期せぬトラブルが発生して、栽培や販売がうまくいかないことが多いです。

市場出荷や農協出荷の場合は、市場卸売価格よりも買取価格が低い場合が多いです。

契約出荷や直接販売を行うことで、キロ単価を上昇させることができます。

いちごで新規就農する営業利益・手取りは?

いちごで新規就農する営業利益はどれくらいでしょうか?

3つの収益モデルで考えてみると、20a規模で営業利益は180万円・360万円・540万円となりました。

新規就農モデル10a売上規模20aの売上利益率営業利益
低収益モデル
(収量が全国平均、低単価販売)
450万円900万円20%180万円
中収益モデル
(多収品種、中単価販売)
900万円1,800万円20%360万円
高収益モデル
(多収栽培、高単価販売)
1,350万円2,700万円20%540万円

手取りは税金や控除、節税対策などが関係するので、個人差が大きくなります。

いちごで新規就農する人向けの補助金は?

いちごで新規就農する人向けの補助金を紹介します。

農林水産省の補助金

就農準備資金(生活費の援助)

新規就農の研修者向け

  • 月に12.5万円を支給
  • 最長2年間で合計300万円
  • 交付期間の1.5倍の期間農業を継続しなかった場合は返金が必要
  • 原則49歳以下
  • 1年以上研修する
  • 前年の世帯所得が600万円以下
  • 経営発展支援事業の補助金額が減額される

経営開始資金(生活費の援助)

認定新規就農者向け

  • 月に12.5万円を支給
  • 最長3年間で合計450万円
  • 夫婦は1.5倍を交付
  • 交付期間と同期間以上農業を継続しなかった場合は返金が必要
  • 原則49歳以下
  • 自営就農であること
  • 前年の世帯所得が600万円以下

経営発展支援事業(ハードへの補助金)

認定新規就農者向け

  • 補助額:750万円(後述の就農準備資金を利用した人は500万円)
  • 機械・施設、家畜導入、果樹・茶改植、機械リース等が対象

青年等就農資金(事業資金の融資)

認定新規就農者向け

  • 借り入れ限度額3,700万円(特例で1億円)
  • 償還期限17年以内のうち据置期間は5年以内
  • 無利子
  • 実質無担保
  • 無保証人

農林水産省以外の補助金

農林水産省以外にも、経済産業省や総務省、中小企業庁、都道府県、自治体、民間企業、JAなどの補助金があります。

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いちごで新規就農する方法まとめ

いちごで新規就農したい人向けの情報をまとめました。

いちごで新規就農したい人は参考にしてみてください。

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