ここ数年、農業に参入する一般企業が増えています。
大企業も参入していますし、中堅企業や零細企業も農業を始めています。
全国各地で企業の農業参入の事例が増えています。
貴社も農業参入に興味があり、農業参入を検討中なのではないでしょうか?
そこで今回は、一般企業が農業参入すべき理由を10個紹介します。
この記事を最後まで読むと、一般企業が農業参入すべき理由がわかり、貴社が農業参入を検討するべきかわかります。
1. 企業でも農地が手に入りやすくなるから
企業でも農地を入手しやすくなります。
昔は個人農家しか農地を入手できなかった
昔は、農地法により、企業の農業参入はできないように制限されていました。
企業は農地を入手できなかったからです。
それは個人農家を守るためでした。
企業も農地を取得できるように変わった
徐々に農地取得の規制が緩和されて、企業も農業参入できるように変わりました。
これまでは、農地取得は農業委員会経由か農地バンク(農地中間管理機構)経由の2つの方法がありました。
主に農業委員会が窓口となり、農地の斡旋をしていました。
令和7年4月から農地バンク経由で取得
令和7年4月から、 農地取得は原則として農地バンク経由に変わります。
これまでとは農地の取得ルートが変わるのです。
目的は、「農地の流動性を高めて、農地の集約化を促進するため」です。
農地バンクが地域の農地を集約化し、それを企業や個人に貸したり売ります。
そのため、企業の農業参入の難易度が下がります。
これは日本政府が企業の農業参入を推進しているからです。
2. 資金があれば新規事業を作るべきだから
企業の経営者の多くが、「経営の新しい柱を作りたい」と考えています。
三本の柱になる事業を作りたい
今の既存事業で利益を出せていても、一本の柱では不安定です。
社会変化や新しいテクノロジーによって、その既存事業の利益が減るかもしれないからです。
「経営を安定させるために、三本の柱(事業)を作りたい」と考える経営者が多いです。
新規事業で利益と資産を増やす
新規事業が成功すれば、利益を増やすことができます。
利益を増やせれば、社員を増やしたり、給料を上げることもできます。
そして、会社の資産を増やしていけます。
余剰資金は投資すべき
また、お金は銀行に預けているだけでは意味がありません。
事業で生んだ資金を、新規事業に投資して、会社の資産を増やしましょう。
会社の成長のためには「お金」を働かせることが大切です。
3. 育てやすい農作物や栽培方法を選べばいいから
素人が農作物を育てるのは難しいです。
育てやすい農作物がおすすめ
例えば、果樹は苗を育てるのに3〜5年ほど必要です。
病気や害虫がつきやすい野菜も育てるのが難しいです。
しかし、農作物の中には育てやすい物もあります。
葉物野菜なら種まきから収穫まで1〜2ヶ月くらいなので、短い時間で経験値を貯められます。
水稲は栽培のほとんどが機械化されていて、肉体労働は少ないです。
ハウス栽培や養液栽培がおすすめ
また、露地栽培は自然災害の影響を受けやすいです。
しかし、ハウス栽培なら、台風や大雨、干ばつ、線状降水帯などの自然災害の被害を受けにくいです。
養液栽培や水耕栽培なら、マニュアル化や自動化ができます。
農薬を使わない有機栽培や無農薬栽培は、難易度が高いのでおすすめしません。
企業は農家とは違う戦略を選ぶべき
個人農家は長年の栽培の経験や勘があるので、栽培が難しい農作物も栽培できます。
企業は栽培の経験がないので、栽培が難しい農作物や栽培方法を選ばないようにしましょう。
貴社でも個人農家に勝てる農作物や栽培方法で戦うべきです。
農作物と栽培方法の選択を間違えないでください。
育てやすい農作物や栽培方法を選べば、栽培の失敗を防げます。
4. 販売計画を先に検討すればいいから
「農作物は値段が安いし、販売価格の交渉ができず、買い叩かれるから儲からない」という意見があります。
マーケットインで事業戦略を考える
販売の失敗を防ぐためには、栽培よりも先に販売を考えるべきです。
農作物を育ててから、販売のことを考えるのはやめましょう。
プロダクトアウトよりもマーケットインで、事業戦略を考えましょう。
先に儲かりそうな作物を考えて、それから栽培方法を考えましょう。
個人農家は得意な栽培だけに集中する戦略
個人農家の多くは、JAや青果市場に出荷する場合が多いです。
それは、農作物の栽培が最も得意で、個人農家が苦手な販売や物流の商談はJAが担当しているからです。
農家とJAは、役割分担をしているんです。
JAや青果市場に出荷すると、市場卸売価格が変動し、販売価格の交渉をできない場合が多いです。
販売が得意な会社は販路を開拓しよう
個人農家やJAの昔ながらの農業のやり方は素晴らしいシステムです。
しかし、企業には個人農家やJAにはない強みがあります。
企業の中には、商談や販売が得意な企業もあります。
貴社ならではの販売先や農業のやり方が創出できるかもしれません。
農業の常識にとらわれず、会社の既存事業や人脈を使って、販売計画を作成しましょう。
5. 農業の需要はなくならないから
農業や農作物の需要はなくなりません。
AIやロボットに多くの仕事がなくなる
最近、AIやロボットの進化が凄まじいですよね。
今ある仕事の大部分がAIやロボットに取って代わられ、「人間の仕事がなくなる」と言われています。
企業の今の主力事業もAIやロボットの影響で売上が下がる危険性があります。
AIやロボットが進化しても農業はなくならない
しかし、AIやロボットがいくら進化しても、人間の食べ物の需要はなくなりません。
この世界から農業がなくなることはないです。
農業は、100年先も需要がある産業です。
「農業事業はAIやロボットが進化しても需要がなくならない」という強みがあります。
農業の需要は高まっているが農家は減少
世界的に見ると、気候変動や人口増加による食料不足により、農業の需要は高まっています。
日本でも農家の急激な減少により、農作物の流通量や価格が不安定になり、需要は高まっています。
農業の需要は高まっていますが、農家の軒数は減少しています。
そのため、需要と供給のバランスが崩れ、最近は農作物の値段が上昇しています。
6. 個人農家ではできないことができるから
企業は個人農家にはできないことができます。
企業は個人農家にはできない農業ができる
企業は、既存事業や資金力、信用力を活かした農業ができます。
それは、個人農家にはできないことです。
個人農家は農作物の栽培だけで忙しく、他のことなどできません。
個人農家は農作物の栽培は得意ですが、それ以外のことは得意ではありません。
しかし、企業には個人農家には技術や人材、経験があります。
農家にはできない、企業ならではの農業をしましょう。
企業のプロジェクト事例
例えば、複数の企業や自治体と連携した大きなプロジェクトです。
流通業者や食品加工業者、小売業者と連携したバリューチェーンを構築する農業プロジェクトがあります。
輸出業者とタッグを組んで農作物をブランド化して輸出するプロジェクトがあります。
道の駅やサービスエリアの隣に観光農園を併設するプロジェクトがあります。
自治体や食品加工業者と連携して、ふるさと納税の返礼品として特産品づくりをするプロジェクトがあります。
飲食店や商店街と連携して、イベントを開催するプロジェクトがあります。
企業が技術や経験、人材を活かして新しい農業をしています。
農業で地方の地域活性化
こういった取り組みは個人農家ではやりづらく、信用や資金力がある企業の方が向いています。
農業が盛んな地方であれば、農業事業をすることで地域活性化、地方創生、町おこしが実現できます。
特に農業が衰退し始めた地域の場合、農業を活かした地域活性化が求められています。
日本政府も今後は地方創生に力を入れるはずです。
その一端を担うのは、地方の企業です。
7. 自社の人材を活用できるから
企業は自社の人材がいるので、その人材を有効活用できます。
既存事業の閑散期に農業を行う
企業の既存事業に繁忙期と閑散期がある場合には、閑散期に農業をする方法があります。
農業にも農作物によって繁忙期や閑散期があるので、既存事業と組み合わせて均等化することができます。
既存事業に農業を組み合わせることで、人材の生産性を向上できます。
再雇用や転職希望者、新卒採用、障害者雇用枠
また、定年退職した人材の再雇用として、農業事業を行う企業もあります。
企業で結果を出してきた優秀な人材は、60〜79歳くらいまでまだまだ原液で活躍できます。
他にも、既存事業と合わず他社に転職したい人材の受け皿として、農業事業を用意している企業もあります。
今では転職が当たり前になり、人材採用のコストを考えると、人材流出を防ぐ効果は大きいです。
また、農業のような新規事業に取り組むと学生には新鮮で魅力的な企業に見えるので、新卒採用で優秀な学生を獲得しやすい効果もあります。
大きな企業の場合は、障害者雇用枠が設定されているので、障害者雇用枠を埋めるために農福連携事業を行う企業もあります。
企業の人材採用や組織は農家にはない強み
企業には、すでに優れた人材がいたり、人材採用から教育、組織化の仕組みができていることが強みです。
個人農家の場合は、家族と季節雇用のパートで働くことが多く、人材採用や教育、組織化は弱みになっています。
企業にとっては当たり前のことも、個人農家にとっては苦手なことば場合が多いです。
8. 気候変動や自然災害は競合も共通の問題だから
最近は、地球全体の気候変動が問題です。
地球が沸騰している
地球全体の平均気温が急上昇していて、2024年は世界最高温度を更新しています。
日本の平均気温も2024年が観測史上最高値です。
今、地球は沸騰しています。
その影響で異常気象や自然災害が連発しています。
海外や国内の農業生産が不安定
異常気象や気候変動は日本の農業にとってマイナスですが、全世界で起きているので影響は外国も同じです。
気候変動の影響で、海外から輸入している農作物の生産が不安定になり、価格が上がっています。
日本国内に目を向けても、個人農家も気候変動や自然災害の被害を受け、生産が不安定で価格が乱高下しています。
気候変動や自然災害は他社も同じ条件
気候変動や自然災害は貴社の農業事業のリスクですが、それは競合他社も同じです。
農作物の栽培に成功していた農家や農業法人も、ここ数年は栽培に失敗しています。
これまでの経験が通用しない気候に変わってしまったからです。
農家や農業法人の多くが、この気候変動の変化に対応できていません。
ということは、気候変動や自然災害の対策がうまくいけば、貴社にもチャンスがあります。
ピンチはチャンスです。
9. 既存事業と関係ない方がリスク分散できるから
農業と既存事業が関係ない場合はリスク分散ができます。
農業と既存事業に相乗効果がない欠点
「うちの既存事業は農業と相乗効果がないから、農業参入はやめよう」と考えている経営者も多いと思います。
たしかに、新規事業は既存事業と相乗効果があった方が有利です。
その方が競合優位性を作りやすいからです。
農業と既存事業に相乗効果があるリスク
しかし、2つの事業の相乗効果がある場合には、共倒れのリスクもあります。
プラスの相乗効果があるということは、マイナスの相乗効果もあるからです。
例えば、観光事業の会社が観光農園をすると、コロナのような場合に両方の事業が影響を受けます。
会社の柱は離れていた方が安定します。
BS経営を意識する経営者
BS経営を意識している経営者の方は、事業領域を分散することを考えています。
PL経営で事業ごとの利益を追求することも大切ですが、会社の段階によってはBS経営の方が良い場合もあります。
「農業事業では儲けなくてもいい」と広い視点で考える経営者もいます。
短期的な利益を出すことだけが新規事業の目的ではありません。
分離した資産を増やすフェーズの企業もあります。
10. 新しい農業のやり方もあるから
昔ながらの農業とは違う「新しい農業」もできます。
農作物の新しい販売方法
昔ながらのザ・農業といえば、家族労働で、露地栽培で育てて、農作物をJAに出荷します。
もちろんそのような農業も素晴らしいですが、いろんな農業のやり方があります。
農作物の販売は、JAに出荷するだけではありません。
直売所や自社の直売店で販売することもできます。
スーパーや食品加工会社と契約栽培することもできます。
農作物の新しい栽培方法
栽培方法についても、環境制御ができるハウス栽培では植物工場に近い環境を作ることができます。
機械やロボットを使うことで、ある程度の作業は自動化できます。
ドローンで農薬散布したり、トラクターの自動運転も普及しています。
このような設備や機械を使う栽培は初期投資が大きいので、資金力がある企業の方が有利です。
企業ならではの強みで新しい農業
企業の既存事業の技術や経験、経営力、組織力を農業に活かすこともできます。
それらは個人農家にはない強みです。
農業参入した企業は、新しい農業を牽引する存在として期待されています。
まとめ 農業参入すべき理由10選
今回は一般企業が農業参入すべき理由を10個紹介しました。
貴社の経営状況や課題によって、農業参入するかをご検討ください。
しかし、一般企業が農業参入すべきではない理由もあります。
安易な農業参入はおすすめしません。
一般企業が農業参入すべきではない理由10選【失敗する原因】
本ページはプロモーションが含まれています一般企業が農業参入する事例が増えていますが、失敗して撤退することも多いです。 農業は他の産業とは違う点が多く、一般企業では農業で成功するのが難しいからです。 また、最近は気候変動で […]
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