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夜の室温は10℃以上が良いと聞いたから、加温機は10℃で設定しよう」としていませんか?

日本の多くのイチゴ農園が夜の最低室温を10℃前後に設定しています。

でも、騙されたと思って、夜の室温を5℃まで下げてください

5℃にすると燃料費が節約でき、収穫量も減りません。

むしろ、収穫量が増えたり、糖度が高くなる可能性もあります。

コスパ最強です!

ただし、加温機の設定温度をただ単に5℃にするだけだと、確実に収穫量が減ります。

必ずセットでしないといけないことがあるからです。

この記事を最後まで読むと、イチゴハウスのベストな夜の温度を理解でき、冬に燃料費を節約しつつ草勢を維持でき、冬の収穫量を増やせます。

燃料費を節約しつつ、収穫量を増やしたい人は、ぜひ最後までお読みください。

夜のハウス最低室温を10℃にする理由

まずは夜のハウス最低室温を10℃にする理由を考えてみましょう。

加温機の始動を8〜13℃にしている農園が多い

イチゴ栽培をしているハウスは、重油や灯油を燃料する加温機を使用している場合が多いです。

その加温機には温度センサーが付いていて、始動温度を設定することで、夜間の温度を一定に保てます。

その加温機の始動温度を、10℃前後にしている農園が多いです。

10℃前後とは、8〜13℃ほどです。

夜の室温が高いと栄養成長が促進され草勢が維持される

夜間のハウス室温を10℃ほどにする理由は、イチゴの生育を促進するためです。

イチゴの促成栽培は、露地栽培では休眠する時期に、ハウス栽培で「半休眠状態」にすることがポイントです。

半休眠状態にするために必要なのは、加温して日平均温度を上げることです。

目安としては、日平均温度を15℃程度まで上げると、厳寒期でも半休眠状態を維持しやすいです。

また、ハウス室温が0℃以下に下がると、花や実が凍って低温障害を受けます。

低温障害を受けた花は奇形になり、実は腐るので販売できなくなります。

厳冬期は草勢維持が大切なので学術的には正しい

イチゴ栽培の厳寒期に特に重要なポイントは、草勢維持です。

葉面積が小さくなると、光合成ができなくなります。

花房が短くなると、実に光が当たりにくく、収穫作業がしにくくなります。

そのため、夜間に燃料費を使って最低温度を上げることは、学術的には正しい行為です。

経営的には燃料費高騰で利益減少

ただし、イチゴ農園は経営面も考える必要があります。

経営的に考えると、燃料費はランニングコストの中で大きな割合を占めるので、削減すべき経費です。

さらに、加温機の燃料としてよく使われるA重油の価格は、2022年から高い傾向が続いています。

過去の平均価格と比較すると、最近の価格は1.4倍ほど高額です。

今までと同じような温度管理を続けると、燃料費が1.4倍になります。

その燃料費が負担となり、利益が減少している農園が多くあります。

そのため、燃料費を節約することが経営改善に繋がります。

夜の最低温度を5℃に下げるメリット

次に夜の最低温度を5℃に下げるメリットを説明します。

燃料費を大幅に節約できる

加温機の始動温度を10℃から5℃に下げると、加温機の稼働時間を短くできます。

そのため、燃料費を大幅に節約できます。

どれくらい節約できるのかは、その地域の気候やハウスのサイズ、断熱性によっても異なります。

燃料費はおよそ3〜6割程度は削減できると思います。

糖度が高くなり大粒になる

夜の最低温度を下げると、果実の糖度が高くなり、粒が大きくなりやすいです。

イチゴは開花から収穫までの日数である成熟日数が長いほど、糖度が高く粒が大きくなりやすいです。

夜の最低温度を下げることで、成熟日数が長くなります。

ただし、デメリットとして成熟日数が長いので、収穫サイクルが長くなります。

その結果、冬の収穫量が少なくなります。

このデメリットにはある対策をすることで、解決できます。

低温で呼吸を抑えられエネルギーロスが減る

イチゴは体全体で24時間、呼吸をしています。

呼吸はイチゴの生育に必要不可欠な生理現象ですが、エネルギーを消費してしまいます。

光合成で作ったエネルギーから、呼吸で消費したエネルギーの分が、実際にイチゴが使えるエネルギーになります。

そのため、呼吸を抑えることが重要です。

呼吸速度は温度と比例しており、温度が高いほど呼吸が増えます。

そのため、夜間の温度を低くすることで呼吸を抑えられ、エネルギーロスを減らせます。

昼の最高温度を5℃上げられる

夜の温度を下げることのメリットとして、昼の温度を上げられることもあります。

昼の換気開始温度を23℃から28℃に上げられる

昼のハウスの換気開始温度を、23℃から28℃まで上げられます。

冬に日平均温度15℃を維持しようと思うと、夜に下げた分を昼に上げられるからです。

ハウスの閉鎖時間が長くなりCO2を施用できる時間が長い

ハウスの換気温度を28℃まで上げると、ハウスが閉鎖される時間が長くなります。

そうすると、二酸化炭素を高濃度で施用できる時間が長くなります。

光合成を促進するためには、二酸化炭素を高濃度で施用することが重要です。

昼の温度を23℃で換気した場合と比べると、二酸化炭素の施用時間が2倍程度まで伸びます。

光合成の最適温からはややズレるが高いCO2で光合成が促進

イチゴの光合成適温は23〜25℃程度です。

28℃は光合成適温からは少しズレています。

しかし、光合成速度は二酸化炭素の影響も強く受けます。

そのため、換気した状態の23℃と、閉鎖して二酸化炭素を高濃度にした場合の28℃では、28℃の方が光合成は盛んになります。

昼夜平均の日平均温度は維持でき、草勢と成熟日数に大きな影響はない

昼の温度を上げることで、日平均温度が維持できます。

昼の温度を上げないと日平均温度が維持できず、草勢が弱くなり、成熟日数が長くなり収穫量が減ります。

そのため、夜間の温度を低くする場合は、必ず昼の温度を上げてください。

この2つはセットで行い、日平均温度15℃程度を維持する必要があります。

ただし、あえて糖度を上げることや果実のサイズを大きくすることを優先させる場合は、昼の温度も23℃程度にするのがおすすめです。

収穫量は減らないし、増える可能性もある

「でも、収穫量が減るのでは?」と心配になる人もいるでしょう。

そこで、岐阜県農業技術センター研究報告2010年の「イチゴ高設栽培の環境調節による省エネルギー栽培技術」を紹介します。

大まかに説明すると、次の条件で「濃姫」と「美濃娘」という2つの品種を比較栽培しました。

  • 夜の温度:8℃から5℃に下げた
  • 昼の室温:25℃から28℃に上げた
  • 電照:1〜2時間延長した
  • CO2:換気するまで午前は1,000ppmで施用した

濃姫の収穫量

まずは濃姫という品種の結果です。

省エネ区が夜の温度を3℃下げて、昼の温度を3℃上げた試験区です。

慣行区と比べて収穫量が増えています。

美濃娘の収穫量

次は美濃娘の結果です。

こちらも省エネ区の方が収穫量が増えています。

このように夜の温度を3℃下げて、昼の温度を3℃上げたところ、収穫量は増えました。

このように岐阜県の試験でも、夜温を下げて昼温を上げることで収穫量は減るどころか、むしろ増えています。

ただし、この試験ではハウスを閉鎖している午前中は二酸化炭素を1,000ppmという高濃度で施用しています。

二酸化炭素を高濃度で施用しない場合には、違う結果になる可能性もあります。

夜温を下げるデメリットと対策

ここからは夜温を下げるデメリットと対策を紹介します。

CO2発生装置がないとCO2飢餓

ここまでは、ハウスに二酸化炭素発生装置がある前提で話をしてきました。

二酸化炭素発生装置がない場合は、ハウスを閉め切る時間帯に二酸化炭素が減少し、飢餓状態になります。

二酸化炭素が大気中の420ppmよりも下がった条件では、光合成は著しく抑制されます。

そのため、二酸化炭素発生装置がないハウスで換気を遅らせると、収穫量が減る可能性が高いです。

電照の効果が弱くなるので電照時間を延長

厳寒期は夕方に電照をする農園が多いです。

電照は日長時間を長くすることで、イチゴの草勢を維持する栽培技術です。

電照の効果は温度の影響も受けるので、夜間の温度を低くすると電照の効果が出にくくなります。

そのため、電照の時間を1〜2時間ほど延長しましょう。

そうしないと、草勢が弱くなり光合成が減ります。

夜に結露が発生しやすいので灰色かび病に注意

夜の温度を低くすると、湿度が高くなり、結露が発生しやすくなります。

その結果、灰色かび病が発生しやすい環境になります。

灰色かび病は相対湿度が80%以上で好適環境になります。

内張りに防滴フィルムを使用したり、相対湿度が高い時刻に加温機を始動したり、途中で内張りの換気をして外張りに結露を付けるような対策をしましょう。

夜の室温を0℃以下になると花や実に低温障害が起きる

「夜の温度を下げると良い」と聞くと、「5℃よりももっと下げよう!」と考える人が必ず出ています。

たしかに、夜の最低温度は5℃以下に下げても良いです。

ただし、0℃以下まで下げると花や実に低温障害が発生するので、0℃以上は保ってください。

花が低温障害を受けると、雌しべが真っ黒になります。

果実が低温障害を受けると、凍って腐ります。

厳密にいうと、果実は−2℃くらいまでは耐えられますが、ハウスは場所によって温度が違うので、0℃以上と考えた方が安全です。

早朝加温をして早く光合成適温へ

夜の温度が低いと、早朝のハウス温度も低くなります。

そのデメリットは、日の出1時間後くらいの日射が光合成に十分になった時刻の葉の温度が低く、光合成が最大化できない点です。

そのため、日の出1時間後くらいに葉の温度が高くなるように、日の出前後くらいから加温機による早朝加温をしましょう。

具体的な時刻は、ハウスの広さや加温機の出力によって異なります。

早朝の二酸化炭素濃度は、夜間の呼吸によって高まっているので、二酸化炭素発生装置で高める必要はありません。

冬の昼の室温が上がらない場合はデメリットが大きい

ここまでは冬の昼のハウス室温が28℃まで上がる前提で説明をしてきました。

しかし、中には冬の昼の温度が上がらない場合もあり、その場合はデメリットが大きくなります。

  • 日本海側などの冬の晴天が少ない地域
  • 北日本などの降雪量が多い地域
  • 曇天日が何日も続く時期

このような地域や時期の場合は、昼の温度が上がらない分、夜の温度を高くするのがおすすめです。

夜温を低くするおすすめのイチゴ農園

このような農園は夜温を低くするのがおすすめです。

重油などの燃料費を節約したい農園

重油や灯油を燃料にする加温機を使っていると、経費節減効果が大きいためです。

冬の最低気温が低い地域の農園

北日本や内陸部などの気温が低い地域だと、経費節減効果が大きいためです。

冬の日照時間が長い地域の農園

太平洋側の冬の日照時間が長い地域ですと、昼に光合成を最大化しやすいからです。

太平洋側のイチゴの生産量が多い地域は、冬の日照時間が長いのでおすすめです。

草勢が強い品種を育てている農園

かおり野や紅ほっぺ、とちあいかなどの草勢が強い品種は、夜の温度を下げても草勢を維持しやすいからです。

高糖度にしたい農園

昼の温度を28℃まで上げないことで、成熟日数が長くなり糖度が高くなりやすいからです。

まとめ 夜の最低温度の設定で燃料費節約

今回は夜の最低温度の設定を変えることで、燃料費を節約しながら収穫量を維持するコツを紹介しました。

夜間の加温機の設定温度について、ぜひ再度検討してみてください。

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