
イチゴ農家になって促成栽培を始めたけど、経験が浅くて今月の作業準備で不安になっていませんか?
今回はイチゴの促成栽培で9月にやるべきことを5個紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
1.苗の葉かきと間隔拡大、農薬散布
イチゴの苗は余分な葉を取らないと、新葉が光を求めて徒長します。
徒長すると葉柄が軟弱になり折れやすく、受光姿勢も悪くなります。
苗に残す葉の枚数は2.5〜3.5枚くらいにすることが多いです。
展開する前の新葉は0.5枚と数えます。
ポットで育苗している場合は、ポットの間隔を広げて置いて徒長を防ぎましょう。
ポットの間隔が狭いと葉が重なりあい、徒長が始まります。
9月でもハウス内は高温になり、炭疽病や疫病などの病原菌が感染拡大しやすいです。
病気予防のための殺菌剤の定期散布を継続しましょう。
炭疽病対策の農薬を使う場合は、アビオンEなどの固着性展着剤の使用をおすすめします。
アビオンEを使用すると、他の展着剤を使用した場合や展着剤不使用と比べて、炭疽病の被害を抑えられる報告があります(長崎県)。
また、定植前に農薬散布や高濃度炭酸ガス処理などをして、苗の害虫を一掃して、「ゼロ密度」で定植しましょう。
数匹でも本圃内に持ち込んでしまうと、本圃内で繁殖して数が増えます。
天敵製剤を放飼しない場合は、定植後や開花後には使いづらいミツバチに悪影響が強い農薬を、このタイミングで使用しましょう。
2.頂花房の花芽分化のための窒素中断や夜冷処理、検鏡
頂花房の花芽分化は、定植前に起こさせる必要があります。
花芽分化していない苗を定植すると、土から肥料を吸収したり、育苗ポットよりも高い地温の影響で、花芽分化が遅れて収穫開始が大幅に遅れます。
温暖化の影響で、花芽分化する時期が遅くなっています。
焦らないようにしましょう。
花芽分化のタイミングは、品種や気候による影響が強いです。
花芽分化は、苗の体内窒素含有量が高いと阻害されるので、窒素含有量を下げる「窒素中断」を行いましょう。
定植時期によりますが、8月下旬や9月上旬頃から施肥を停止して、窒素飢餓状態にします。
夜冷庫や大型冷蔵庫がある場合は、夜冷処理を行い、短日と低温条件にして花芽分化を誘導しましょう。
小さな冷蔵庫の場合は、運搬の手間はかかりますが、2倍の量の苗を処理できる間欠冷蔵処理もおすすめです。
農業普及員や営農指導員に花芽分化の検鏡を依頼できる場合は、検鏡を依頼して花芽分化の診断を受けましょう。
実体顕微鏡があれば、自分で検鏡することもできます。
3.定植日の決定と定植準備
花芽分化の状況や天気予報を見ながら、定植日を決めましょう。
ハウス室温が高温なときに苗を定植すると、根が傷んだり、頂花房に高温障害が起きる場合があります。
定植が遅すぎると、花芽形成時に窒素不足になり頂花房の収量が減ったり、収穫開始が遅れます。
極早生品種なら9月上旬以降、早生品種なら9月下旬以降、晩生品種なら10月上旬以降が目安です。
土耕栽培なら畝立て、高設栽培なら栽培槽の準備をしましょう。
作業性は準備が肝心。
スムーズに定植ができるように、定植穴の穴あけや使用する道具の準備を済ませておきましょう。
4.苗の定植作業とハウスの昇温対策
頂花房の花芽分化が確認され、定植準備ができたら、定植を行いましょう。
ハウスの昇温対策をして、ハウス室温をできるだけ下げましょう。
例えば、以下のような方法があります。
- ハウスの外張りを剥がして骨組みだけにする
- ハウスの開放部を全開にする
- ハウスの妻面のフィルムを剥がす
- ハウスの換気扇を使う
- ハウスに遮光シートを付ける
- 細霧冷房やミストを使う
- ビニールマルチをまだ設置しない
- タイベックシートなどの遮光性が高いマルチをすぐに設置する
病害虫対策で、農薬の苗の浸漬や灌注を行う場合は、定植の直前に行いましょう。
5.苗の活着促進と植え替え
定植後は苗の活着促進をしましょう。
苗の活着促進には、以下のような方法があります。
- 苗に液体肥料を与えてから定植する
- 植え穴に固形肥料を埋めてから苗を定植する
- 定植直後に液体肥料やバイオスティミュラントを灌注する
- 畝やベンチの表面に散水する
- 数日間は潅水を止めて、土を乾燥気味にして発根を促す
- 細霧冷房や遮光シートなどでハウス室温を生育適温に近づける
もし、活着がうまくいかなかった苗や炭疽病などの症状が現れたら、苗の植え替えをしましょう。
そのため、植え替え用の予備苗を10月下旬までは保管しておきましょう。
まとめ
他にも役立つ記事がたくさんあるので、ぜひ読んでみてください。
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