いちご農園経営者必見！経費項目ごとのコスト割合を把握する方法とその重要性

いちご農園を経営する皆さん、こんにちは。

あなたは、あなたのいちご農園の経費を項目ごとに把握していますか？

経費の金額がトップ3の項目とそのコスト額を答えてみてください。

もし、答えられないのであれば、ぜひこの記事を最後までお読みください。

いちご農園の経営において、経費項目ごとのコスト割合を把握することは非常に重要です。

この記事では、あなたのいちご農園の経費項目ごとのコスト割合を把握する方法とその重要性について詳しく解説します。

経費項目とは？

まず、経費項目について理解しましょう。

会社の決算書を作成するときに、経費は項目ごとに仕訳します。

会計上の経費項目

例えば、会計上の経費には以下のような項目を使います。

• 地代家賃
• 仕入高
• 消耗品費
• 水道光熱費
• 旅費交通費
• 広告宣伝費
• 外注費
• 交際費
• 福利厚生費

いちご農園の経営計画上の経費項目

いちご農園の経営計画上の経費項目は、会計上の項目とは少し違うものを使います。

例えば、以下のような項目を使います。

1. 種苗費
2. 肥料費
3. 農薬費
4. 動力光熱費
5. 諸材料費
6. ハウス修繕費
7. 減価償却費
8. 人件費
9. 運賃
10. 販売手数料
11. 事務経費
12. その他

種苗費

いちごの苗や種を購入するときの費用です。

• いちごの親株
• いちごの子苗
• いちごの種子（よつぼし、ベリーポップ系のみ）

親株や子苗の栽培資材類を含める場合もありますし、それらは諸材料費に含める場合もあります。

肥料費

いちご栽培用の肥料にかかる費用です。

• 育苗用の肥料
• 本圃用の固形肥料
• 本圃用の液体肥料
• 葉面散布剤
• バイオスティミュラント
• 土壌改良材
• 有用菌資材

肥料だけでなく、バイオスティミュラントや土壌改良材もこちらに含まれます。

農薬費

いちご栽培用の農薬にかかる費用です。

• 殺虫剤
• 殺ダニ剤
• 殺菌剤
• 育苗用の殺菌剤
• 資材の殺菌処理剤
• 除草剤

農薬や資材の殺菌処理剤、除草剤などがこちらに含まれます。

動力光熱費

動力光熱費は燃料にかかる費用です。

• 電気代
• 水道代
• 重油代
• 灯油代
• LPガス代
• 炭酸ガス代
• 車のガソリン代

電気や水、重油代などが含まれます。

諸材料費

諸材料費は数日から数年で使い捨てる資材類の費用です。

• 培地
• ビニール袋
• ビニール紐
• 手袋
• 出荷資材

減価償却をしない資材類が含まれます。

ハウス修繕費

ビニールハウスの修繕費です。

• 骨組みの修理費用
• ビニールの修理費用
• 内張りの修理費用
• 外張りの張替え費用

ビニールハウスは完成後もランニングコストがかかります。

減価償却費

減価償却費は減価償却を行う機械や設備類の償却費用です。

• ビニールハウス
• 加温機
• 炭酸ガス発生装置
• 高設ベンチ
• 養液システム
• ポンプ
• 農薬散布機
• 電照
• 細霧冷房
• 車両

減価償却が必要な設備類は減価償却費でコストを計算します。

人件費

人を雇用することで発生する費用です。

• 役員報酬
• 正社員の給与
• パート雇用の給与
• 派遣社員の給与
• 社会保険料負担
• 福利厚生
• 各種手当

給与以外にも社会保険料や福利厚生の費用も含まれます。

運賃

いちごの栽培資材や出荷に関係する費用です。

• 機械の購入にかかった運賃
• 種苗や資材の購入にかかった運賃
• いちごの出荷にかかった運賃

自社で負担する場合と顧客が負担する場合があります。

販売手数料

いちごの販売にかかった費用です。

• 直売所の利用料
• JAの利用料
• 直販サイトの利用料
• ECサイトの利用料

販売経路によって金額が変わります。

事務経費

いちごの生産とは直接関係ない費用です。

• 事務室の建設費
• エアコン代
• パソコン代
• PCソフトウェアの年会費
• 筆記用具
• プリンター

会社として事務処理をするために費用がかかります。

その他

その他にもいろんな費用がかかります。

• トイレ維持費
• 車両維持費
• 保険料
• 接待交際費
• 支払手数料
• 電話代
• インターネット利用料
• 農業ツール利用料

少額な費用はその他でまとめましょう。

経費項目ごとのコスト割合を把握する意義とは？

なぜ経費項目ごとのコスト割合を把握する必要があるのかを理解しましょう。

経費項目ごとのコスト割合を把握することにより、以下のようなメリットがあります。

• 経営の可視化
• コスト削減と利益率向上
• 将来の計画策定
• 銀行からの資金調達

詳しく見ていきましょう。

経営の可視化

経費項目ごとのコスト割合を把握することで、経営状況を明確に理解できます。

どんぶり勘定で経費をひとまとめにしていると、正確に経営状況を理解できません。

また、決算用に会計士に会計処理を任せっきりにすると決算用の会計はできますが、経営用の会計分析ができません。

経営用の会計分析をすることで、適切な経営判断が可能となります。

コスト削減と利益率向上

どの経費項目が多くのコストを占めているかを把握することで、削減すべきポイントが明確になります。

基本的なルールは「大きなコストから削れ！」です。

理由は大きなコストの方が削減効果が大きくなるから。

経費を減らさないといつまで経っても利益が増えません。

いくら売上が大きくなっても経費も大きくなってしまっては、意味がないですよね？

無駄を省くことで、全体のコストを削減し、利益率を向上させることができます。

将来の計画策定

経費の動向を把握することで、将来の経営計画を立てやすくなります。

例えば、新しい設備の導入や、事業拡大のタイミングを見極めることができます。

新しい設備を導入する前には、「その設備で利益がいくら増えるのか？」「何年で投資を回収できるのか？」を考える必要があります。

あた、いちご農園の規模を拡大するのは、ユニットエコノミクスの適正化に成功してからです。

「儲けを大きくするために、規模拡大しよう！」と考えて、売上は増えたけど経費も増えて、結局は利益が増えなかったという農園が多いです。

設備導入や規模拡大よりも先にやるべきことがあります。

銀行からの資金調達

正確なコスト管理は、銀行や投資家からの信頼を得るためにも重要です。

どんぶり勘定のままでは、銀行からの印象はよくありません。

いちご農園の事業にあった経費項目を準備し、経費項目といちごの栽培や販売の関係性を説明できるようになりましょう。

詳細な経費管理を行っていることを示すことで、資金調達がスムーズに進む可能性が高まります。

経費項目ごとのコスト割合を把握する方法

経費項目ごとのコスト割合を把握するためには、以下の手順を踏みます。

1. 記帳と分析
2. 定期的なレビュー
3. コスト削減の工夫

記帳と分析

日々の経費を正確に記帳し、月単位で集計します。

会計ソフトやExcelを利用することで、効率的に管理できます。

各経費項目ごとのコスト割合を計算し、グラフなどを用いて視覚的に把握します。

定期的なレビュー

一ヶ月ごと、もしくは四半期ごとに経費を見直し、変動要因を分析します。

確定申告や決算時だけの「一年ごと」ではダメです。

PDCAサイクルを早く回すために、一ヶ月ごとのチェックが理想です。

必要に応じて予算配分を調整しましょう。

事前に予算を決めて、実際の経費と比較して管理することを「予実管理（よじつかんり）」と言います。

他のいちご農園との比較を行い、あなたの農園の経費割合を客観的に評価してください。

もしかしたら、ムダな経費があるかもしれません。

コスト削減の工夫

コスト削減のための具体的な施策を検討し、実行します。

例えば、ビニールハウスの自動制御機器の導入や、出荷作業プロセスの効率化などが挙げられます。

育苗、栽培、収穫、出荷などそれぞれの場面ごとにコストを削減しましょう。

必要な経費は使うべき

かと言って「闇雲に経費を減らせば良い」というわけではありません。

必要な経費は使うべきです。

経費を使うことで、売上が増えて利益が生まれます。

経費は利益の元なのです。

いちご農園の経費項目ごとのコスト割合まとめ

いちご農園の経営において、経費項目ごとのコスト割合を把握することは極めて重要です。

しかし、ほとんどのいちご農家では経費項目ごとのコスト割合を正確に把握していません。

正確な経費管理を行うことで、経営の効率化や収益性の向上が期待できます。

今回紹介した方法を参考に、あなたのいちご農園でもぜひ実践してみてください。