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環境制御はいろんな数値と機械があるけど、何から変えれば良いの?

温度を下げるためにハウスを換気すると、二酸化炭素濃度が下がるけど、どうしたらいいの?

と悩んでいませんか?

環境制御の要素や機械はいろいろありますが、何から決めればいいのか悩みますよね。

そこで今回は、イチゴの光合成のために環境制御の設定を決める順番を解説します。

この記事を最後まで読むと、ハウスの環境制御をどの順番で決めればいいのかが理解でき、理想的な光合成や草勢管理ができるようになります。

イチゴだけではなく、他の野菜のハウス栽培でも役立つので、ぜひ最後までお読みください。

1位 光の強さ(日射)

イチゴの環境制御で最初に決めるのは、光の強さである日射です。

ハウス栽培の場合、光合成の光源は太陽光だけです。

季節や時刻、天気、雲の量で変わる

光の強さは、季節や時刻、天気で変わります。

季節ごとの日射の強さは、夏が最も強く、次いで春、秋、冬の順番です。

時刻ごとの日射の強さは、昼が最も強く、次いで朝、夕方、夜の順番です。

天気ごとの日射の強さは、曇や雨、雪の日は日射が弱く、晴れの日は日射が強くなります。

また、雲の量で日射が変わるので、1秒毎に変わります。

イチゴの葉の上の日射を測定する

日射の測定は、イチゴの葉の上で行いましょう。

理由は、日射はビニールハウスの外張りや骨組み、内張りなどの影響を受けるからです。

ハウスの外に日射センサーが設置されていると、実際にイチゴが受ける日射とは違う値になります。

曇天で光合成が抑制され晴天で活発

二酸化炭素を供給しない場合は、冬の晴れた日の日差しで十分です。

曇天日には光が制限要因になって、光合成が抑制されます。

二酸化炭素を供給する場合は、日差しが強いほど光合成速度が大きくなります。

日射は減らせるが増やせない

日射が弱ければ光合成は減り、強ければ増えます。

しかし、日射は人工的に増やすことができません。

電照用ライトの光は弱すぎて、日射の代わりにはならないからです。

高圧ナトリウムランプやLEDを至近距離で当てる補光用ライトもありますが、日本の施設園芸ではほとんど導入されていません。

理由は、初期費用とランニングコストが大きすぎて、投資対効果が合わないからです。

遮光シートなどで日射を減らすことはできますが、増やせません。

春や秋は日射が強すぎるので、遮光シートや遮熱塗料を使って日射を減らします。

光合成に強い影響があり, 強くできず毎秒変わる

日射は光合成に強い影響があります。

そして、雲の量の影響を受けるので毎秒変わります。

そのため、イチゴのハウスの環境制御は、まずは日射のデータを最初に見て、他の要素を制御しましょう。

理由は、日射の影響が強く、人工的に強くできず、毎秒変化するからです。

電照は草勢を確認しながら時間を調整

電照は日射ではなく、日長時間を長くする処理です。

日射と日長時間は別物です(日照時間も別物です)。

電照は光合成には関係しません。

電照はイチゴの葉の成長である草勢を促進することが目的です。

11月から1月頃まで行うことが多いです。

日没間際から3〜4時間ほど行う場合が多いです。

草勢が強い品種や、草勢が強い状態の場合は、電照は行わない方が良いです。

理由は過繁茂状態になり、葉と根のバランスが悪くなったり、呼吸量が多くなりエネルギーロスが多くなるからです。


日射の他の要素への影響

日射があると、ハウス室温が上がります。

2位 温度

1番重要な光を測定したら、2番目に決めるのは「温度」です。

日射に応じて温度を決めましょう。

温度の設定は、光合成適温や草勢、花芽分化などを考慮して決めましょう。

ハウス室温と葉温, クラウン温度, 地温

温度と一言でいっても、ハウス室温や葉の温度、クラウン温度、地温などがあります。

基本的にはハウス室温の影響を受けて、他の温度も変わります。

しかし、ハウス室温の影響ですぐに変化するわけでありません。

例えば、換気をしてハウス室温が3℃下がった時に、葉やクラウン、土の温度はすぐには下がりません。

3℃下がった状態が数十分継続したときに、葉やクラウン、土の温度も少しずつ温度が下がっていきます。

温度計でデータを測定

環境モニタリング装置がない場合は、おんどとりやSwitchBotなどの温度計でデータを測定してください。

ハウス室温や群落内温度、地温を測定して、データを分析しましょう。

販売戦略、目標の草姿を決めてその実現のための温度制御

「イチゴは◯℃が良い」という答えは一つではありません。

100個の農園があれば、100個の正解があります。

そのため、本やネットの情報を鵜呑みにして、安易にマネしないでください。

温度は日射とは違い、人工的に制御することができます。

そのため、イチゴの販売戦略や目標の草姿を予め決めて、それを実現するための温度制御をしてください。

ハウスのベストな温度は、イチゴの時期別の販売価格によっても異なります。

イチゴの販売戦略や目標の草姿がイメージできない人は、イチゴを育てる前に、まずは経営者として事業計画と生産計画を作成した方が良いです。

厳冬期の昼の温度

まずは、日射があるときの昼の温度を決めます。

これは、光合成を優先して、光合成適温になるようにしましょう。

光合成が最大になる温度は、23〜25℃程度です。

日射が強ければハウス室温が上昇します。

ハウス室温が高くなりすぎたら換気をして、温度を下げます。

昼はミツバチの行動適温(20〜25℃)も意識しましょう。

厳冬期の夜の温度

次に、夜の温度を決めます。

夜の温度は、呼吸や草勢、花芽分化を考慮して決めます。

一般的には、5〜15℃の範囲にすることが多いです。

厳冬期は夕方から温度が下がり、日の出直前に最も気温が下がります。

加温機を使って設定温度になったら加温するようにします。

燃料費を節約するために、内張りや局所加温を使いましょう。

厳冬期の日平均温度を確認

ハウス室温の測定を行い、一日の平均室温である日平均温度を確認しましょう。

厳冬期は日平均温度を15℃程度にした方が良いです。

秋と春の温度管理は冬とは別物

秋と春は気温が高く、ハウス室温が高くなる場合が多いです。

特に昼は日射があるとハウス室温が急上昇し、午前中から30℃以上になります。

そのため、ハウスを換気している時間が長くなります。

春や秋は、イチゴの花芽分化のことを最優先に考えて、温度管理を決めましょう。

また、草勢の管理も光合成よりも重要です。

夕方から夜にかけては、気温に応じてハウスを閉鎖したり開放したりします。

ハウスの換気は自動化する

ビニールハウスの換気は手動でもできますが、自動化するのがおすすめです。

理由は温度管理を手動よりも高精度でできるからです。

ハウスのサイドの側窓を自動巻き上げに変えたり、換気扇や天窓を温度センサーで制御してみてください。

温度の他の要素への影響

保温するためにハウスを二重や三重構造にすると、透光性が下がり日射が減ります。

温度を下げるために換気をすると、二酸化炭素の高濃度の施用ができなくなり、二酸化炭素飢餓状態の場合は改善します。

温度を上げるために加温をすると、相対湿度が下がります。

3位 二酸化炭素

光と温度の制御が決まったら、次は二酸化炭素を決めます。

二酸化炭素を考えるのは、3番目です。

光合成への影響は二酸化炭素が強い

二酸化炭素は大気中濃度の420ppm以下になると、光合成が著しく抑制されます。

逆に、700ppm以上になると光合成が盛んになります。

光合成への影響だけを考えると、温度よりも二酸化炭素の方が大きいです。

しかし、温度は花芽分化や草勢に影響しますが、二酸化炭素は影響しません。

そのため、まずは温度を決めて、その次に二酸化炭素を決めましょう。

二酸化炭素発生装置がある場合

厳冬期の午前は、二酸化炭素を高濃度で施用しましょう。

厳冬期の午後は、420ppm以下にならないようにしましょう。

春や秋はハウスを換気する時間が長いので、二酸化炭素の施用はほとんどできません。

二酸化炭素の局所施用ができる場合は、局所施用を行いましょう。

二酸化炭素発生装置がない場合

厳冬期の午前と午後は、換気を行い420ppm以下にならないようにしましょう。

換気をしないと光合成で二酸化炭素が吸収され、二酸化炭素飢餓になります。

栄養成長を促進するために日平均温度を上げたい場合には、温度を優先させます。

栄養成長を促進する必要がない場合には、二酸化炭素を優先させて換気します。

ジェットヒーターですと、簡易的な二酸化炭素の供給と加温の一台二役ができます。

二酸化炭素発生装置がない農園は雨除け栽培

イチゴの促成栽培で二酸化炭素発生装置がない農園は、環境制御のことはあまり考える必要がありません。

環境制御が重要な施設園芸というよりも、ハウスを使う簡易的な雨除け栽培だからです。

温度のことだけ考えましょう。

二酸化炭素の低コスト測定器

二酸化炭素の濃度を測定するセンサーはいろいろありますが、SwitchBotの二酸化炭素センサーは格安なのでおすすめです。

「校正」をすれば実用可能なレベルの精度です。

二酸化炭素の他の要素への影響

二酸化炭素を発生させるために燃料を燃焼すると、ハウス室温が上がります。

二酸化炭素を高濃度にするためにハウスを閉め切ると、ハウス室温が上がります。

4位 飽差(湿度)

日射と温度、二酸化炭素の設定が決まったら、次は湿度を決めましょう。

湿度は相対湿度を測定し、飽差を最適化します。

湿度は4番目に決めましょう。

飽差の最適値は3〜6g/㎥

先に決めた温度のときの、最適な飽差からベストな相対湿度を把握しましょう。

例えば、ハウス室温が23℃の場合、ベストな相対湿度は80〜85%です。

この飽差の場合はイチゴの葉の気孔が開き、二酸化炭素をたくさん取り込めます。

湿度はミストや潅水で上昇させる

ハウス内の湿度を上昇させたいときは、ミストや潅水を使用します。

高設栽培の場合は、通路に水を撒くのもおすすめです。

逆に湿度を下げたい場合は、換気扇で換気したり、加温機で温度を上げます。

飽差の影響は光や二酸化炭素、温度よりも小さい

飽差の改善のために、光や二酸化炭素、温度を犠牲にしないでください。

飽差の重要度の方が低いからです。

飽差は光合成の制限要因になりますが、飽差が悪い条件でも光合成はゼロにはなりません。

トマトと比べると、イチゴの場合は飽差の優先順位は低いです。

昼寝現象の原因は飽差や二酸化炭素

イチゴやトマトの光合成は、午前が活発で、午後に低下することが多いです。

昼に光合成速度が減少するこの現象を「昼寝現象」といいます。

原因は二酸化炭素や飽差が適正ではないからです。

ハウス室温や日射が同じでも、二酸化炭素や飽差の条件が違うと、光合成が低下します。

二酸化炭素や飽差の条件を整えれば、午後でも光合成速度が早いと言われています。

ただし、午後になるとハウス室温が上昇し換気をするので二酸化炭素の施用が困難です。

また、夕方から夜にハウス室温が高いと灰色かび病が出やすくなるので、湿度は低くする必要があります。

そのため、午後に昼寝現象が起きやすいです。

湿度の他の要素への影響

ハウスの換気を行いながらミストを使うと気化熱が発生して、ハウス室温が下がる場合があります。

ハウスの換気を行わなずにミストを使うと気化熱が発生しづらく、ハウス室温の低下は小さいです。

5位 その他の要素

日射、温度、二酸化炭素、飽差を決められたら、次はその他の要素を決めましょう。

風や潅水、肥料などです。

循環扇の風は24時間付けっぱなし

循環扇はハウス内の空気を動かすために使います。

温度差をなくすことができます。

微風で群落内の空気を入れ替えて、群落内の二酸化炭素飢餓を防げます。

循環扇は24時間付けっぱなしにするのがおすすめです。


点滴チューブからの潅水

潅水は肥培管理に関係することなので、環境制御とはカテゴリが違う話です。

ただし、潅水はハウス内の湿度を上げるために有効です。

また、土が乾燥していると水不足になり、蒸散を抑制するために気孔が閉じます。

そのため、土が乾燥していると光合成が抑制されます。

潅水は基本的には肥培管理のルールで行いますが、湿度の上昇や土の乾燥予防の目的でも使用します。

液体肥料で追肥

光合成や成長には肥料も関係します。

光合成が盛んになると、肥料の吸収量が増えます。

そのため、肥料不足になりやすいです。

肥料不足にならないように、液体肥料で追肥を行いましょう。


季節で優先順位は変わる

今回は光合成を中心に環境制御のことを考えました。

しかし、環境制御は光合成以外にも、草勢や花芽分化の制御も行う必要があります。

そのため、季節ごとに主な目的が変わります。

秋の前半は花芽分化

秋の前半は第一次腋花房の花芽分化を最優先に考えましょう。

そのため、ハウス室温を下げることを優先させます。

秋の後半は草勢強化

秋の後半は草勢強化を最優先に考えましょう。

そのため、ハウス室温を上げて葉面積を大きくします。

冬は光合成

冬はハウスを閉め切る時間が長いので、光合成を最優先に考えましょう。

草勢を維持することも大切です。

春は草勢抑制と花芽分化延長

春は草勢抑制と花芽分化の延長を最優先に考えましょう。

そのためハウス室温をできるだけ下げましょう。

まとめ イチゴ栽培の環境制御の優先順位

今回はイチゴ栽培で環境制御の各要素を決める順番を解説しました。

優先順位は、光合成、呼吸、転流、草勢、燃料代、品種の特徴、販売価格などを考慮して決めます。

①光→②温度→③二酸化炭素→④飽差→⑤その他

この順番で環境制御の設定を決めていきましょう。

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