
イチゴ農園の経営計画を作るとき、10aあたりの労働時間として、国や県が公表している指標を使うことがあります。
地域や栽培方法によって違いはありますが、一般的には、イチゴ栽培10aあたりの労働時間は、年間約2,000時間とされることが多いです。
ただし、私はこの2,000時間という数字を、そのまま実際の農家の労働時間だと考えるのは危険だと思っています。
なぜなら、イチゴ農園の労働時間は、栽培方法、育苗方法、販売方法、作業者の熟練度などによって大きく変わるからです。
また、公表されている労働時間には、経営計画を作るうえでの調整や、集計対象に含まれていない作業がある可能性もあります。
この記事では、イチゴ農園10aの労働時間がなぜ約2,000時間とされているのか、そして実際の労働時間が農園ごとに大きく異なる理由について解説します。
イチゴ農園10aの労働時間は約2,000時間が目安
国や県などが公表している経営指標では、イチゴ栽培10aあたりの年間労働時間は、約2,000時間とされることがあります。
単純計算すると、1年間に2,000時間なので、月平均では約167時間です。
ただし、イチゴ栽培の労働時間は、年間を通して均等に発生するわけではありません。
収穫期には、収穫、選別、パック詰め、出荷などの作業が集中します。
一方、収穫量が少ない時期や栽培終了後は、労働時間が少なくなる場合もあります。
そのため、年間では約2,000時間でも、繁忙期には非常に長い時間働くことがあります。
また、この2,000時間という数字は、すべてのイチゴ農家にそのまま当てはまるわけではありません。
実際には、2,000時間より短い農園もあれば、かなり長い農園もあります。
1. 経営計画上の労働時間は調整されることがある
新規就農者が認定新規就農者の申請や融資、補助事業などのために経営計画を作る場合、売上、所得、労働時間などを記載することがあります。
このとき、実際に働く予定の時間を、そのまま正直に書けばよいとは限りません。
農業所得を年間労働時間で割ると、実質的な時間当たり所得を計算できます。
個人事業主なので、会社員のような時給とは異なりますが、経営計画を評価するときには、労働時間に対してどれくらい所得を得られるのかが確認されることがあります。
仮に、農業所得を労働時間で割った金額が最低賃金を大きく下回っていると、
「この経営計画では農業経営として成立していない」
と判断される可能性があります。
しかし、売上や所得を大きく増やして計画を作るのは簡単ではありません。
現実離れした収量や販売単価を設定すれば、計画の信頼性が低くなります。
そのため、経営計画を成立させるために、実際に働く可能性がある時間よりも、労働時間を短く調整することがあります。
このような事情を考えると、経営指標や計画書に記載された労働時間が、農家が実際に働いているすべての時間を正確に表しているとは限りません。
イチゴ栽培10aで年間2,000時間という数字についても、私は実際にはさらに長い農園が多いと考えています。
2. 事務作業が労働時間に含まれていないことがある
農家の仕事は、畑やビニールハウスで行う農作業だけではありません。
農業経営者には、次のような事務作業も必要です。
・売上や経費の入力
・請求書や領収書の整理
・確定申告や決算の準備
・補助金や融資の申請
・資材や苗の発注
・従業員の勤怠管理
・給与計算
・販売先との連絡
・出荷伝票の作成
・インターネット販売の受注管理
・SNSやウェブサイトの更新
・採用や教育
こうした仕事は、一般企業でいえば経理、総務、営業、販売管理などのバックオフィス業務です。
しかし、農業の労働時間を調査するときには、栽培や収穫などの直接的な農作業だけを集計し、事務作業を十分に含めていない場合があります。
特に家族経営では、夜間や雨の日に事務作業を行い、その時間を記録していないこともあります。
そのため、栽培作業が年間2,000時間だったとしても、経営に必要な事務作業を加えると、実際の総労働時間はさらに長くなります。
3. 育苗方法によって労働時間が大きく変わる
イチゴ栽培では、苗作りに多くの労働時間が必要です。
ただし、すべての農家が同じ方法で苗を作っているわけではありません。
一般的な育苗では、親株を管理し、ランナーから子苗を増やします。
その後、子苗をポットに受け、発根させ、切り離し、定植まで管理します。
この方法では、次のような作業が必要です。
・親株の管理
・ランナーの誘引
・子苗の受け入れ
・ポットへの固定
・水やり
・肥料管理
・病害虫防除
・苗の切り離し
・苗の選別
・定植前の管理
育苗中の水やりを手作業で行っている農家では、毎日多くの時間が必要です。
一方、自動灌水設備を導入している農家では、水やりに必要な時間を短縮できます。
最近では、苗作りを自分で行わず、苗業者から購入する農家もいます。
また、種子繁殖型品種の普及によって、プラグ苗を購入し、そのまま定植したり、一度鉢上げしてから定植したりする方法もあります。
このような方法では、親株からランナーを取り、子苗を増やす作業が不要になります。
さらに、夜冷短日処理などの花芽分化促進処理を行う農家もいれば、行わない農家もいます。
このように、苗作りだけを比較しても、農家ごとの労働時間には大きな差があります。
4. 高設栽培と土耕栽培でも作業時間が違う
イチゴの栽培方法には、高設栽培と土耕栽培があります。
高設栽培では、腰の高さ付近に設置された栽培槽でイチゴを育てます。
作物が高い位置にあるため、収穫や葉かきなどの作業を、比較的楽な姿勢で行えます。
土耕栽培では、地面に近い位置で作業するため、腰を曲げたり、しゃがんだりする時間が長くなります。
同じ株数を管理する場合でも、作業姿勢や移動のしやすさによって、作業速度が変わります。
また、高設栽培では灌水や施肥が自動化されている場合が多い一方、土耕栽培では、栽培方法によって水管理や追肥の作業が増えることがあります。
ただし、高設栽培であれば必ず労働時間が短くなるとは限りません。
高設設備の清掃、培地の交換、配管の点検、排液管理など、高設栽培特有の作業もあります。
労働時間を比較する場合は、単純に高設か土耕かだけでなく、どこまで作業が自動化されているかを確認する必要があります。
5. 芽かき・葉かき・摘花の方法で大きな差が出る
イチゴ栽培では、芽かき、葉かき、摘花などの栽培管理に多くの時間がかかります。
しかし、これらの作業をどれくらい行うかは、農家や産地によって大きく異なります。
例えば、芽数を常に1芽に制限し、不要な芽を定期的に取り除く農家があります。
さらに、1株当たりの葉数を5枚から6枚程度に維持し、花数も5個から7個程度に調整するような、細かな管理を行う産地もあります。
このような栽培方法では、株を定期的に確認し、芽、葉、花を一株ずつ調整する必要があります。
当然、非常に多くの労働時間がかかります。
一方で、定植後にほとんど芽かきを行わず、葉かきや摘花もほとんど行わない栽培方法もあります。
また、栽培初期だけ芽かきや摘花を行い、途中からは管理を減らす農家もいます。
どの方法が正しいかは、品種、栽培地域、販売方法、目標とする果実品質によって変わります。
ただし、細かな栽培管理を行うほど、労働時間は長くなります。
そのため、国や県の指標だけを見ても、実際の農園でどの程度の管理作業をしているのかが分からなければ、必要な労働時間を正確に予測できません。
収穫とパック詰めが労働時間の大部分を占める
イチゴ栽培では、収穫と選別、パック詰めに非常に多くの時間がかかります。
一般的には、収穫と出荷調製作業だけで、年間労働時間の半分近くを占める場合があるといわれています。
ただし、この時間も販売方法によって大きく変わります。
イチゴ狩り農園では、来園者が自分でイチゴを収穫します。
そのため、通常の出荷農家と比べて、収穫作業を大幅に減らせます。
また、パック詰めも基本的には必要ありません。
もちろん、受付、接客、清掃、予約管理などの仕事は増えますが、収穫とパック詰めの時間は短くなります。
一方、市場出荷や農協出荷を行う農家では、自分たちで収穫し、選別し、パックに詰める必要があります。
大きな産地では、パックセンターを利用できる場合があります。
収穫したイチゴを収穫かごのままパックセンターへ持ち込み、選別やパック詰めを委託できる地域もあります。
農家が簡単な粗選別だけを行い、その後の作業をパックセンターに任せる場合もあります。
このような仕組みを利用できれば、農家の労働時間を大きく減らせます。
同じ10aのイチゴ農園でも、イチゴ狩り、パックセンターの利用、自家選別では、必要な労働時間がまったく異なります。
6. 選別方法と販売方法でも労働時間が変わる
自分たちでパック詰めを行う場合でも、商品の作り方によって作業時間が変わります。
例えば、果実の大きさを細かく分けず、1種類の容器に詰め、1パック当たりの重量だけを合わせる方法があります。
この方法であれば、比較的短時間でパック詰めできます。
一方で、S、M、L、2Lなど、果実の大きさごとに選別する場合は、作業時間が長くなります。
さらに、贈答用の商品では、果実の向きや色、大きさをそろえ、化粧箱に一粒ずつ詰めることもあります。
見た目をきれいに仕上げる必要があるため、通常のパック詰めよりも時間がかかります。
販売方法による違いもあります。
農協や市場にまとめて出荷する場合は、同じ規格の商品を大量に作ることができます。
一方、インターネット通販では、注文ごとに商品を準備し、緩衝材を入れ、送り状を貼り、発送する必要があります。
顧客ごとに配送日や商品内容が異なる場合には、受注管理や問い合わせ対応も必要です。
高単価で販売できる方法ほど、選別、梱包、顧客対応に時間がかかる傾向があります。
販売単価だけでなく、販売に必要な労働時間も計算することが重要です。
7. 農薬散布の方法と頻度でも差が出る
病害虫防除に必要な時間も、農家によって異なります。
農薬を週に1回程度散布する農家もいれば、病害虫の発生状況に応じて、月に1回程度しか散布しない農家もいます。
散布方法にも違いがあります。
手作業で動力噴霧器を使って散布する場合は、薬液の準備、散布、機械の洗浄まで含めて時間がかかります。
自動農薬散布機や無人防除機を導入している農園では、作業者の負担を減らせます。
さらに、通常の農薬散布だけでなく、液体肥料、微量要素、バイオスティミュラントなどの葉面散布を行っている農家もあります。
散布回数が増えれば、その分だけ年間の労働時間も増えます。
一方で、防除作業を減らしすぎて病害虫が多発すると、被害株の処理や収穫量の減少につながります。
作業時間だけでなく、病害虫防除の効果も含めて考える必要があります。
8. 作業者の熟練度によって必要時間が変わる
同じ作業でも、作業者の経験によってスピードが大きく変わります。
長年イチゴ栽培をしている農家は、芽かき、葉かき、収穫、選別などを効率よく行えます。
長く働いているパート従業員も、どの果実を収穫するべきか、どのようにパックへ詰めるべきかを理解しているため、作業が速くなります。
一方、新規就農者や異業種から農業参入した企業では、経営者や社員が農作業に慣れていません。
作業方法を覚えるまでに時間がかかり、同じ面積でもベテラン農家より長い労働時間が必要になります。
パート従業員の定着率も重要です。
毎年同じ人が働き続けてくれる農園では、教育にかかる時間が少なく、作業効率も上がります。
反対に、従業員が1年程度で辞めてしまい、毎年新しい人を採用している農園では、繰り返し教育が必要です。
新人は作業速度が遅く、収穫ミスや選別ミスも起こりやすくなります。
そのため、労働時間を見積もるときには、ベテラン作業者を前提にするのではなく、実際に働く人の経験を考慮する必要があります。
10aで2,000時間という数字だけでは判断できない
国や県の指標として、イチゴ農園10aあたりの年間労働時間は、約2,000時間とされることがあります。
しかし、この数字だけを使って、人員計画や収支計画を作るのは危険です。
実際の労働時間は、次の条件によって大きく変わります。
・苗を自家育苗するか、購入するか
・育苗の水やりを自動化しているか
・高設栽培か土耕栽培か
・芽かき、葉かき、摘花をどこまで行うか
・イチゴ狩りか、出荷販売か
・パックセンターを利用できるか
・自分で選別やパック詰めをするか
・贈答用やネット通販を行うか
・農薬散布を自動化しているか
・作業者がベテランか初心者か
・事務作業まで労働時間に含めるか
同じ10aのイチゴ農園でも、農園の仕組みによって必要な時間は大きく異なります。
公表されている2,000時間は、一つの目安としては使えます。
しかし、新規就農や農業参入の計画を作る場合は、自分たちの栽培方法と販売方法に合わせて、作業ごとに労働時間を積み上げる必要があります。
年間2,000時間ではなく週単位で労働計画を作る
イチゴ農園10aの年間労働時間を約2,000時間として事業計画を作る場合でも、年間の合計時間だけを見てはいけません。
「年間2,000時間なら、月平均で約167時間働けばよい」
という考え方では、計画が甘すぎます。
イチゴ農園では、必要な労働時間が月ごとに大きく変動するからです。
収穫量が多い時期には、収穫、選別、パック詰め、出荷などの作業が一気に増えます。
一方で、収穫量が少ない時期には、必要な労働時間も減ります。
育苗期間には、苗の受け作業、水やり、葉かき、ランナー管理などが集中します。
定植時期には、苗の運搬や定植作業が短期間に集中します。
つまり、年間の労働時間が同じ2,000時間だったとしても、毎月均等に167時間ずつ必要になるわけではありません。
そのため、事業計画を作るときには、少なくとも月別に労働時間を計算する必要があります。
例えば、次のように考えます。
・1月に必要な労働時間
・2月に必要な労働時間
・3月に必要な労働時間
・育苗期間に必要な労働時間
・定植時期に必要な労働時間
・収穫のピーク時に必要な労働時間
ただし、実際には月別の計画だけでも十分ではありません。
同じ1か月の中でも、月の前半と後半で収穫量や作業量が大きく変わることがあるからです。
例えば、月の前半は収穫量が少なくても、後半から急激に収穫量が増える場合があります。
そのため、本来は1か月単位ではなく、1週間単位で労働計画を作ることをおすすめします。
労働力が不足すると収量低下につながる
必要な労働時間を正しく予測できていないと、繁忙期に人手が不足します。
人手が足りなくなると、次のような問題が起こります。
・従業員に急な残業をお願いする
・予定していた日に作業が終わらない
・収穫が遅れる
・葉かきや芽かきが遅れる
・摘花や摘果の時期がずれる
・病害虫防除が遅れる
・パック詰めや出荷が間に合わない
農業では、作業を行う時期が非常に重要です。
一般的な仕事であれば、作業が1日遅れても大きな問題にならないことがあります。
しかし、農業では、適期を逃したことで収量や品質が低下する場合があります。
例えば、収穫が遅れれば、イチゴが過熟になり、日持ちが悪くなります。
芽かきや摘花が遅れれば、株に余計な負担がかかります。
病害虫防除が遅れれば、被害が広がる可能性があります。
作業の遅れが積み重なると、収穫量の減少や販売単価の低下につながります。
つまり、労働力不足は単に作業が忙しくなるだけの問題ではありません。
農園の売上や利益にも直接影響します。
年間の労働時間が計画内に収まっていても、必要な週に必要な人員を確保できなければ、農園経営はうまく回りません。
週ごとに必要な人数を計算する
イチゴ農園の事業計画では、1週間ごとに次の内容を整理することをおすすめします。
・その週に行う作業
・作業ごとの必要時間
・必要な作業人数
・常勤社員で対応できる時間
・家族労働で対応できる時間
・パートやアルバイトが必要な時間
・残業が発生する可能性
例えば、収穫のピーク時に1週間で200時間の作業が必要だとします。
常勤者2人が週40時間ずつ働いても、確保できるのは80時間です。
残りの120時間については、パートやアルバイトを確保しなければなりません。
この計算を事前に行っていなければ、収穫量が増えてから慌てて求人を出すことになります。
しかし、農業の繁忙期に短期間だけ働いてくれる人を急に集めるのは簡単ではありません。
人を採用できたとしても、すぐにベテランと同じ速度で作業できるわけではありません。
そのため、繁忙期を迎える前に採用と教育を行う必要があります。
採用人数だけでなく作業者の熟練度も考える
労働計画を作るときには、単純な人数や勤務時間だけでなく、作業者の熟練度も考慮する必要があります。
例えば、ベテラン作業者が1時間で収穫できる量と、初めて作業する人が1時間で収穫できる量は同じではありません。
収穫だけでなく、葉かき、芽かき、摘花、選別、パック詰めなども、経験によって作業速度が大きく変わります。
新しく採用した人は、最初から計画どおりの作業量をこなせない可能性があります。
さらに、作業方法を教えるために、ベテラン従業員や経営者の時間も必要になります。
そのため、事業計画では、
「5人いれば必要な労働時間を確保できる」
と単純に考えるのではなく、
「5人がどの程度の作業能力を持っているか」
まで考える必要があります。
新規採用者については、採用直後の作業効率を低めに設定し、数か月かけて徐々に作業速度が上がる前提で計画を作る方が現実的です。
また、従業員が長く働き続けられる職場を作ることも重要です。
毎年パート従業員が辞めてしまう農園では、毎年新しい人を採用し、同じ教育を繰り返さなければなりません。
採用と教育を繰り返す時間も、農園経営における労働時間の一部です。
作業マニュアルを作る、動画で作業方法を共有する、ベテラン従業員が新人を教育する仕組みを作るなど、作業者の技術習得を早める工夫が必要です。
設備投資によって労働時間は大きく変わる
イチゴ農園の労働時間は、導入する設備によっても大きく変わります。
初期投資を抑えようとして、できるだけ安い設備を選ぶことがあります。
しかし、設備費を安くした結果、手作業が増え、人件費が高くなる場合があります。
例えば、次のような設備の違いによって労働時間が変わります。
・育苗の自動灌水設備
・本圃の自動灌水設備
・液肥混入機
・環境制御装置
・自動換気装置
・自動カーテン
・暖房機の自動制御
・農薬の自動散布機
・収穫物を運ぶ台車
・選果機や計量器
・パック詰めを補助する機械
・予冷設備や保冷庫
安い設備を導入した場合、機械が行わない作業を人が担当しなければなりません。
その結果、毎日の水やり、換気、運搬、計量、選別などに多くの時間が必要になります。
初期投資額は安くても、毎年発生する人件費が高くなれば、長期的には高くつく可能性があります。
反対に、高額な設備であっても、毎年多くの労働時間を削減できるのであれば、投資する価値があります。
設備を選ぶときには、本体価格だけでなく、設備によって何時間の作業を削減できるのかを計算することが重要です。
安い設備が最も低コストとは限らない
設備投資を判断するときには、初期投資額と人件費を合計して考える必要があります。
例えば、安い設備を選ぶことで初期投資を300万円抑えられたとします。
しかし、その設備を選んだことで、毎年500時間の追加作業が必要になったとします。
仮に1時間当たりの人件費を1,200円とすると、年間60万円の人件費が追加で発生します。
単純計算では、5年間で300万円です。
さらに、採用費、教育費、社会保険料、管理者の負担などを含めると、実際の負担はさらに大きくなります。
この場合、最初に高性能な設備へ投資した方が、長期的には安くなる可能性があります。
設備投資を比較するときには、次の項目を確認しましょう。
・設備の購入費
・設置工事費
・維持管理費
・修理費
・耐用年数
・更新費用
・削減できる年間労働時間
・削減できる人件費
・作業者の身体的負担
・作業の精度
・収量や品質への影響
設備費だけを抑えるのではなく、農園全体の総コストを抑えることが重要です。
人件費を抑えるための設備投資も必要
設備投資というと、収量を増やすための投資をイメージする人が多いかもしれません。
しかし、人件費を抑えるための設備投資も重要です。
イチゴ農園では、収穫やパック詰めなど、人でなければ難しい作業が多く残っています。
だからこそ、水やり、換気、肥料管理、運搬など、自動化できる作業はできるだけ効率化する必要があります。
人でなければできない作業に人員を集中させ、自動化できる作業は設備に任せることで、限られた人数でも農園を運営しやすくなります。
特に今後は、農業分野でも人材の採用がさらに難しくなる可能性があります。
必要な時期に必要な人数を確保できないリスクを考えると、省力化設備への投資は、単なるコスト削減ではなく、事業を継続するための対策でもあります。
ただし、高額な設備を導入すればよいというわけではありません。
設備によって削減できる労働時間と、導入費用を比較し、投資回収が可能かを検討する必要があります。
まとめ:実際の作業内容から労働時間を計算しよう
イチゴ農園10aあたりの年間労働時間は、国や県の指標では約2,000時間とされることがあります。
ただし、この数字は、すべてのイチゴ農家に当てはまるものではありません。
経営計画上の調整が含まれている可能性があり、事務作業などが十分に計上されていない場合もあります。
また、イチゴ栽培は、育苗、栽培管理、収穫、パック詰め、防除などの方法によって、労働時間が大きく変わります。
特に収穫とパック詰めは、年間労働時間に占める割合が大きいため、イチゴ狩りやパックセンターの利用によって必要な時間を大幅に減らせます。
一方、細かな摘花や葉かき、贈答用商品の製造、ネット通販などを行えば、労働時間は長くなります。
新規就農者や異業種から農業参入する企業の場合は、作業者が慣れていないため、公表されている指標以上の時間が必要になる可能性があります。
そのため、事業計画を作るときには、単純に10aで2,000時間と設定するのではなく、実際に行う作業を細かく分けて計算してください。
苗作りに何時間かかるのか。
栽培管理に何時間かかるのか。
収穫、選別、パック詰め、販売、事務作業に何時間かかるのか。
これらを積み上げることで、現実的な人員計画と収支計画を作ることができます。
イチゴ農園の労働時間を考えるときは、平均値だけを見るのではなく、自分たちがどのような栽培と販売をするのかを明確にしたうえで判断しましょう。
YouTube
YouTubeでも解説しています。
イチゴテックのLINE公式
イチゴテックではLINE公式でもお役立ち情報を無料で発信しています。
特にイチゴ農園の新規開業を検討中の方は、ぜひご登録ください。
イチゴテックのニュースレター
イチゴテックではニュースレター(メルマガ)でもお役立ち情報を無料で発信しています。
こんなお悩みはありませんか?
イチゴビジネスに新規参入したいけど…
◆イチゴ農園を始めたいけど、どうすればいいかわからない…
◆イチゴ農園の事業戦略や事業計画づくりに不安がある…
◆イチゴ農園の設備投資の金額を低く抑えたい…
>>イチゴ農園の新規参入で失敗したくない方はこちらをご覧ください。
イチゴ農園の栽培や経営を改善したい
●イチゴが花を咲かせなくて、収量が下がった…
●イチゴの病気や害虫を抑えられなくて、収量が減った…
●農園の経営が苦しいけど、どうしたらいいかわからない…
>>経営中のイチゴ農園を改善したい方はこちらをご覧ください。

