今回は農業DXいちごセミナーの環境モニタリング装置をおすすめする人しない人を解説します。
農業DX、スマート農業、イチゴ栽培、環境モニタリング、環境制御に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。
環境モニタリング装置の一般的な利用者と成功イメージは農家と新規就農者
まず、環境モニタリング装置の一般的な成功イメージって、一体どんなものなのか、考えてみましょう。
環境モニタリング装置、誰が使ったらいいのかなっていう風に考えると、まずはベテラン農家の方がイメージされる方も多いと思います。
今、農家の平均年齢というのは69歳になっておりまして、実際には70歳と考えると分かりやすいと思います。
平均年齢が70歳で、60歳から80歳ぐらいが一番ボリュームが多い、そういった業界です。
ですので、60歳から80歳ぐらいの農家の方々がこの環境モニタリング装置を使えると、これは1つ成功と言っていいのではないでしょうか。
それからもう1つ考えていただきたいのが新規就農者の皆さんです。
新規就農者の方というのは年齢的には20代後半から30代後半ぐらいこの辺りの年齢層の方が多いと思います。
この辺りの方も、この環境モニタリング装置を使うことで栽培がうまくいくということになれば、それは素晴らしいことだと思います。
やはりこのベテラン農家の方ですとか新規就農者の方が環境モニタリング装置を使っているのが、一般的な成功イメージだと思います。
「本当にそうなのかな?」と考えてみましょう。
農業生産の規模×経営体種類のマトリクス
まず説明するのは、農業生産の規模と経営体の種類を掛け合わせたマトリクスです。
まず、上の部分は大規模な農園を表し、下の部分には小規模な農園があります。
また、左側には個人の経営者があり、右側には異業種から参入した企業があります。
農家、新規就農者、異業種から農業参入企業のポジション
では、どのようなものが当てはまるのかと言いますと、まずはベテラン農家の方々です。
経営者として個人で経営されていて、ある程度の規模を持っていると思います。
次に、新規参入者の方々は個人で経営されており、まだ始めたばかりなので規模は小さめだと思います。
また、異業種から農業に参入した企業は、まずは試験的に小さな規模で始めて、数年後に本格的に大規模な参入をするという流れが多いです。
3つの経営体を4つの視点の重要性を評価
次に、環境モニタリング装置の利用価値が高い人々について説明します。
先ほど説明したベテラン農家、新規就農者、異業種からの参入者の3つの部門について見ていきたいと思います。
どの部門を見ていくかと言いますと、
- 経験と知識があるか?
- 属人化していいか?
- 毎日労働していいか?
- 経営者がハウスに滞在できるか?
この4つの視点で比べます。
ベテラン農家は経営者自身が毎日働いてOK
ベテラン農家の方々は豊富な経験と知識を持っていますし、技術の属人化についてもこの農家の方々にしかできないということになってしまっても特に大きな問題はありません。
また、平日や土日、祝日を含めて毎日労働されている方が多いと思います。
農家は個人事業主ですので、労働基準法は関係ないからです。
さらに、経営者がハウスに滞在するということも多いです。
この農家の方々自体が経営者ですので、その方がハウスにずっと滞在していることが多いと思います。
新規就農者は将来を見据えて行動する
一方、新規参入者の方々は、例えば栽培に関する経験や知識が非常に不足しているということが多いです。
また、属人化に関しても、その人自身が実際に栽培を行うことですので、発生してしまっても特に問題はないです。
次に、毎日働くかどうかについては、「将来的には、できれば週に2日くらいは休日が欲しい」という風に考えている方が最近は多いと思います。
ただ、新規就農したばかりは休みがないことが多いです。
そして、経営者自身がハウスに滞在するという面は、新規参入者の方もベテラン農家の方と同じだと思います。
異業種からの農業参入
異業種から農業に参入される場合というのは、農業ですとか栽培に関しての勘ですとか経験が全くないもしくは非常に不足しているという場合が多いです。
それから、属人化を防ぎたいという要望が強いと思います。
やはり、組織として栽培をやっていくという風になったら、誰かこの人しかできないという仕事は減らしていきたいと考えることが多いです。
次に、毎日労働も厳しいですね。
週休2日であったりとか季節変動性を取ったりとかどういった形にせよ、従業員に休日は必ず取らせなければいけません。
次に、経営者の方がハウスに滞在されるというのは非常に稀です。
たまに訪問することはあるかもしれないんですけれども、常にハウスの中に経営者の人がいるということはほとんどないです。
環境モニタリング装置の利用価値が高い人は新規就農者や異業種参入企業
そのことから言えることっていうのは、自動化やデータ化、遠隔監視などは新規就農者ですとか異業種からの参入している企業の方がベテラン農家と比べてより重要性が高いことです。
ですので、環境モニタリング装置の向いているのか向いていないのかで言いますと、ベテラン農家よりも新規就農者ですとか異業種参入の方がより向いている、もしくはより重要性が高い、より導入する必要性が高いと言えます。
農業の経営規模と経営体数のマトリクス
次に、少し別の視点で農業についてマトリクスを考えてみました。
1つは経営規模、それから経営体の数です。
まず上が大規模な農園、下が小規模な農園です。
左側が単独の経営体、右側が複数の経営体です。
これについて具体的に見ていきましょう。
個人農家は規模が小さく単独の経営体
例えば、個人農家と呼ばれる人は単独の経営体で、規模としてはそこまで大きくないという場合が多いです。
農業生産法人は規模が大きく単独の経営体
しかし、この個人農家が規模を大きくしていくと、法人化しようとすることもあります。
または、複数の生産者が合体して1つの法人を作ることもあります。
その場合、農業生産法人や農業法人と呼ばれることが多いです。
生産者グループは規模が小さく複数の経営体の集合
次に、規模が小さめながらも複数の経営体が集まっているものとして、生産者グループと呼ばれるものがあります。
例えば、イチゴ農家が集まって自分たちで1つのチームとしてやっていこうとすることです。
また、野菜の生産者が何人かで集まって自分たちで統一ブランドにして販売していこうとすることなどがあります。
最近は全国的にも多いと思います。
JAの部会は規模が大きく複数の経営体の集合
それから、この流れが発生する前に、元々昔から行われてきたものというのがJAの部会という組織です。
例えば、数十軒や数百軒の農家の方が集まって、みんなで農協として出荷します。
また、同じ品種を育てたり、同じ栽培方法をしたり、同じ規格で出荷をすることが昔から行われてきました。
このJAの部会は、経営体の全ての農地を合わせると非常に大きな面積になります。
3つのグループを4つの視点で比較
個人の農業生産法人部会またグループについても、環境モニタリング装置の利用価値が高い人はどういった方なのかを、こちらの4つの項目で見ていきたいと思います。
4つの視点はこちらです。
- 品質統一の優先順位が高いか?
- 情報共有の優先順位が高いか?
- 組織強化の優先順位が高いか?
- 新人教育の優先順位が高いか?
個人農家は4つの項目の優先順位が低い
例えば個人農家の場合、品質を他の人と統一しなければいけないのかと言われると、個人で単独で出荷をしている場合はこれは求められないことが多いです。
もちろん自分の出荷物の中では統一しなければいけませんが、他の農家と統一する必要はありません。
それから他の農家と情報共有しないといけないのかと言われたら、やってもいいんですけれどもやらなくてもいいという状態です。
組織として強化する必要があるのかと言われたら、個人の経営体のままでいいのであれば、組織として強化する必要性は必ずしもありません。
それから新人教育についても、例えばパートさんやアルバイトに対する教育というのは必要になってくるんですけれども、従業員というものが存在しない場合には新人教育についても必要性は低いと思います。
農業生産法人は4つの項目の優先順位が高い
じゃあ、これが農業生産法人の場合はどうなるのか見ていきましょう。
例えば、農業生産法人の場合でも、複数の圃場で複数の従業員が生産しているという場合には品質を統一する必要性が出てきます。
それから、従業員を雇用して複数名でチームとして活動しますので、情報共有をしっかりする必要性が出てきます。
また、組織としてきちんと強くなっていく必要性が出てきます。
従業員を新たに雇用しますし、それからパートやアルバイト複数名たくさん雇用しますので、新人教育というものも重要になってきます。
JAの部会や生産者グループは4つの優先順位が高い
次に、JAの部会や生産者グループについて考えてみますと、他の経営体と統一の規格で出荷をしますので、出荷物の品質を統一する必要性が非常に高いです。
それぞれの経営体ごとにバラバラの品質のものを同じ名称で出荷をしてしまうのは、非常に良くないです。
クレームやトラブルにつながります。
なので、品質の統一が非常に重要になってきます。
それから、情報共有であったりとか組織の強化であったりとか、新人教育という場面についてもやはり部会であったりとか組織のグループ、組織としてチームとして動いていくことを考えると、非常に大切になってきます。
環境モニタリング装置の利用価値が高い人は農業生産法人や部会、生産者グループ
ですので、簡単にまとめますと、データ化ですとかマニュアル化、データの共有という意味合いですと、農業生産法人ですとか部会、グループの方が個人農家に比べて重要性というのが非常に高いです。
だからこそ、農業生産法人とかJAの部会、生産者グループの方が環境モニタリング装置を利用するのに向いているより利用した方がいいです。
環境モニタリング装置をおすすめする人まとめ
今回は環境モニタリング装置をおすすめする人しない人について解説しました。
次回は>>環境モニタリング装置と制御システム、環境制御装置の違いについて解説します。
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