今回は農業DXいちごセミナーの環境制御のケーススタディ【具体的なアクションプラン】を解説します。

農業DX、スマート農業、イチゴ栽培、環境モニタリング、環境制御に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。

今回はイチゴ栽培の改善のために、具体的なアクションプランを考える話です。

アクションプラン1 外気温の予測

ここからは具体的なアクションプランを考えていきましょう。

最初は外気温の予測をすることが大事です。

これがPDCAで言うところのプランの部分に該当します。

まず、気象庁などの天気予報の長期予報(1ヶ月から3ヶ月先)を確認し、天候を予測し対応を考えるようにしましょう。

2番目に、テレビやスマホアプリで天気予報の中期予報(1週間から2週間先)を確認し、天候を予測し対応を考えるようにしましょう。

3つ目に、天気予報の短期予報(1日から3日先)を見て、天候を予測し対応を考えるようにしましょう。

まずは、外気の予測は長期的なもの・中期的なもの・短期的なものもありますので、その辺りを常に確認してください。

これから先、気温が高くなりそうなのか低くなりそうなのか、この辺りをしっかり判断して環境制御に生かすということが大事です。

気象庁の季節予報(3ヶ月予報)

具体的な事例について見てみますと、こちらで紹介しているのが気象庁の季節予報(3ヶ月予報)と呼ばれているものです。

こちら気象庁のウェブサイトの一部を紹介しておりまして、青で示しているのが平年と比べて低いもしくは少ない、黄色が平年並、赤が平年と比べて高いもしくは多いといったものです。

こちらは気温についてのものなんですが、北日本、東日本、西日本で12月から2月(12月・1月・2月)という感じで表示しております。

例えば、東日本の12月から2月については、平年よりも気温が高い確率が約60%ぐらいで高いんだなというのが読み取れるのかなと思います。

3ヶ月予報なので当たらない可能性も十分あります。

少し長期的な視点を持って何か設備の準備をするとか、新しい投資をするとか、そういった場合には、こういったものが役に立つと思います。

気象庁の1ヶ月予報

次は気象庁の1ヶ月予報です。こちらについても、気象庁のウェブサイトで公開されておりまして、北日本、東日本、西日本、沖縄奄美について、平均気温、降水量、日照時間、風速について1ヶ月間の予報があります。

例えば、北日本の日本海側の降水量について見てみますと、少ない可能性が50%、平年並が30%、多い可能性が20%という感じです。

北日本の日本海側については、降水量は今後1ヶ月間は少ない見込みでですよというところが見て取れるかと思います。

もちろん、これも1ヶ月先までの予報ですので、当たらないという可能性もあります。

それから過去の動画でもご紹介した通り、この辺りは天気予報の精度に依存しますので、天気予報の精度が高いかどうかによって変わります。

それから最近は異常気象が多いですよね。

夏の猛暑であったりとか、冬の豪雪であったりとか、そういったものがあります。

天気予報が当たらないという現実もありますので、これを100%信用するのは危ないんですけれども、1つ傾向を見て取るとには役に立つのかなと思います。

アクションプラン2 モニタリング

具体的なアクションプランの2つ目はモニタリングです。

こちらPDCAでいうところのDoとチェックに該当します。

過去の室温データを10日ごとにグラフ化

まず、栽培前に環境モニタリング装置で取得した過去数年分のハウス室温データを確認し、10日ごとに平均気温を計算することを行ってみてください。

次に、栽培中に環境モニタリング装置の平均気温を10日ごとに確認し、過去のデータと比較して差を把握することも是非やってみてください。

環境モニタリング装置を設置しているハウスでは、過去数年分もしくは数ヶ月分のデータが蓄積していると思います。

それを見ずにほったらかしにしている方が多いのではないでしょうか?

15万円の環境モニタリング装置を使いこなしていますか?

過去の動画で「15万円の環境モニタリング装置を500円の温度計みたいな使い方していませんか?」という問題提起をさせていただきました。

500円の温度計だと過去数年分のデータは見ることができません。

ただ15万円の環境モニタリング装置であれば過去数年分のデータが見れるはずです。

ですので、そちらのデータをダウンロードして見る、もしくはそちらの使ってるシステムの中のグラフ化等の機能を使って見るようにしてください。

これをやらずにただ今の温度だけ見ているっていうのは非常にもったいないです。

逆に言えば過去数年分のデータをしっかり分析することができれば15万円の環境モニタリング装置は15万円以上の価値を発揮できると思います。

過去のデータの分析をしっかりやるようにしてみてください。

それをやった方が環境モニタリング装置の利用価値というものが高くなります。

リアルタイムでモニタリング

それから、この過去の振り返りというのは過去数年分です。

1回の栽培が終わった後にするのだともったいないんですね。

そうではなくて、常時平均気温などをモニタリングしながらリアルタイムでPDCAを回して、どんどん栽培を改善していきましょう。

今の状態を過去のものと比較して、今年が一体どうなのかを見ていくのが非常に重要だと思います。

なので、栽培が終わってからデータを確認するのではなくて、栽培をしながらデータを確認するということをやっていきましょう。

平均値を算出して比較

このデータも、そのリアルタイムの今の温度だけではなくて、過去10日分、過去5日分、過去2週間分みたいな感じで、しっかりデータの平均値というものを見ていくのが大事です。

なぜかと言うと、1日だけで考えてみますと、たまたま晴れたから気温が高いとか、たまたま雨が降っているから気温が低いとか、たまたま3日間雨が降ったから気温が低くなったことがあるからです。

1日だけとかまそのリアルタイムの温度だけ見ていくと、なかなか植物が受け取っている感じている温度っていうものの把握には使えないことが多いです。

例えば5日分とか10日分とか、これぐらいの期間の平均の温度を確認していくことが大事になります。

過去のデータのグラフに今作を追加する

では、次に過去のデータのグラフに今作のデータを追加する方法について簡単に説明します。

例えば、こちらは悠々ファームさんの過去3年分のデータになっておりまして、2021年から2023年の8月上旬から9月下旬までのデータになっております。

2022年の9月下旬だけデータが欠損しているんですけれども、それ以外はデータが揃っております。

例えば、こういうデータが既にあるのであれば、来年2024年になった時に8月上旬の平均気温をこのグラフに追加していく手書きでもいいです。

もちろん、パソコン等を使ってグラフ化してもいいですし、皆さんがお使いのシステム上で追加しても構いません。

例えば、2024年の8月上旬の温度は過去の3年間と比べた時に高いのか低いのかっていうのが見て取れると思います。

これを日ごとに少しずつ追加していくと、過去と比べて今年がどうなのかっていうところが見えていきますので、これが栽培ですとか環境制御の改善にどんどん役に立つと思います。

アクションプラン3 対応

次に、具体的なアクションプランの3つ目対応についてです。

これはPDCAで言うところのアクションに該当します。

ハウスの昇温対策

まず1つ目、気温が高い場合には昇温対策をするようにしましょう。

具体的には天井のビニールを剥がす、遮光を増やす、細霧冷房を行う、マルチの被覆を遅らせる、換気扇を追加するなどです。

出蕾と出荷時期の予測

2つ目、気温が高い場合は花芽分化するかしないかを予測し、出蕾の時期や出荷の時期を予測するようにしましょう。

具体的にミツバチの巣箱を導入する日をいつにするのか決める、出荷を開始する時期を決める、いちご狩りをしている場合にはいちご狩りを開始する時期を決める、この辺りが関係してきます。

例えば、天気予報を使ったりとか、過去10日間のデータを見た時に気温が高くなってしまうなとか、もしくは気温が高くなったという場合には昇温対策をしっかりやることが大事だと思います。

冷房対策まではなかなかハウスだと難しいと思うんですけれども、できるだけ温度が高くならない対策を講じましょう。

それによって、温度が高くなった場合の問題を予防することができます。

それからその温度が高くなった度合いと時期によって、イチゴが花芽分化するのかしないのかがある程度予測できると思います。

その時には先ほど説明した25℃以下というのが目安になります。

ただ、実際には体内の窒素含有量ですとか、日長時間も影響するので複雑にはなってしまいます。

ある程度予測をしてみていただいて、出蕾時期の予測をしましょう。

その出蕾時期について、出蕾したかどうかでも確実に出荷時期というものがより精度が高く予測ができます。

大体この時期に出蕾したら収穫時期は大体このぐらいの時期だなみたいな感じで計算をして、出荷の時期の予測をしましょう。

それによって、収穫道具や出荷調整スペースの用意、出荷先との連絡などいろんな準備があると思います。

この辺りの予測をしてそれの対応していただければなと思います。

データを活用するとPDCAを高速で回せる

今説明したように、データを活用するとPDCAを高速で回せるということが1つ、環境制御のいいところです。

環境情報というのは数値化することで比較ができるようになります。

また、環境データがあるとトラブルの原因を特定することができます。

過去のデータと比較して今作の状況を把握することもできます。

次作の栽培計画を改善することもできます。

また、その時には最初にも申し上げた通り、具体的なアクションプランまでしっかり作成することが重要です。

ですので、環境モニタリング装置を使ったりとか、環境制御について取り組むことでPDCAサイクルを高速で回すことができますので、是非皆さんも栽培の改善に取り組んでみてください。

イチゴ農園の具体的なアクションプランまとめ

今回は環境制御のケーススタディ【具体的なアクションプラン】について解説しました。

次回は環境制御のケーススタディ>>環境制御は農業経営の最適化の手段の一つについて解説します。

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