今回は農業DXいちごセミナーの環境制御システムのプログラムやAIによる自動制御のメリット・デメリットを解説します。
農業DX、スマート農業、イチゴ栽培、環境モニタリング、環境制御に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。
メリット1 栽培経験がない人でも初年度から栽培に成功できる
ここからプログラムやAIによる自動制御のメリットについて説明していきます。
まず1つ目は、栽培経験がない人でも栽培ができることです。
例えば、イチゴの栽培をしたことがない、トマトの栽培をしたことがない、パプリカの栽培をしたことがないという全然栽培したことがない人にとっては、環境制御の適切な設定は全然分かりません。
温度をどれぐらいにしたらいいのか、CO2をどれぐらいにしたらいいのか、ということが全然分からないと思います。
例えば栽培経験がある人がその設定をしてあげて、それで、あとはじゃあもう自動でその設定通りに行われるような環境作りをしてあげれば、栽培経験がない人でもある程度成功できるというメリットがあります。
農業は昔から勘や経験が重要だと言われてきました。
しかし、水耕栽培や施設演芸といった分野では、自動制御が可能ですので、経験のない人でも初年度からベテラン農家と同じくらいの収穫量や品質を目指すことができます。
これは新規参入者にとって非常に大きなメリットです。
環境制御や養液システムの制御は、経験のない人にとっては難しいものですが、プログラムやAIを使用することで自動的に制御することができます。
これは経験のない人にとっては非常に有利な武器となるでしょう。
メリット2 設定変更の手間を削減できる
次に、プログラムやAIによる自動制御のメリットの2つ目は、設定変更の手間と時間を削減できる点です。
環境制御は毎日設定を変更することも可能ですし、1日に何回も設定を変更することもできます。
しかし、これを行うと人間の手間がかかりますし、従業員の労働時間が長くなったり、経営者の時間が奪われたり、人件費が増えたりするなど、さまざまなデメリットが生じます。
しかし、自動制御に設定しておけば、あらかじめ設定したものに基づいて自動的に判断し動いてくれますので、人間の手間を削減することができます。
この点は非常に大きなメリットです。
メリット3 ヒューマンエラーを削減できる
プログラムやAIによる自動制御のメリットの3つ目は、ヒューマンエラーを削減できる点です。
人間はどうしてもミスをしてしまいますが、プログラムは基本的にミスを起こしません。
例えば、環境の設定ミスや制御ミス、何かを忘れるミスなどが起こりますが、プログラムはヒューマンエラーを起こしません。
プログラムは完全に狙い通りのことしか行いません。
そのため、ミスは起きないんです。
AI(人工知能)はミスをする
しかし、AIは人間のように考えて行動するため、必ずしも正解とは限りません。
AIはミスや失敗も起こすことがあります。
それがAI(人工知能)の特徴です。
AIで絶対ミスを起こさないことは不可能ですので、この点は覚えておいた方が良いです。
デメリット1 天気予報の制度に依存する
ここからはプログラムやAIによる自動制御のデメリットについて説明していきます。
まずデメリットの1つ目です。
天気予報の制度に依存するという点があります。
プログラムや映像による自動制御の場合、天気予報のデータを使っている場合があります。
天気の将来予測はあった方が良いです。
環境制御の精度が高まるため、より良い環境制御ができるからです。
ハウス室温が高いがこれから気温が下がる場合
例えば、今の温度がちょっと高めになっていた場合でかつこれから気温が下がるということが予測されるという場合があったとします。
この場合は今のハウスの温度は本来だったらちょっと下げた方がいいんだけど、でもここから天気が悪くなって気温がどんどん低くなるってことが分かっているから、あえてちょっと高めに維持すべきです。
こういったことができるといいんです。
人間とかベテランの農家の人だったらこういったことをやります。
じゃあ自動制御だとできないかって言うと、できないことはないです。
この場合その天気予報のデータを取得しているシステムであれば、今後の気温の予測を元にしてあえてちょっと高めに維持させるみたいなことができるんです。
天気予報が外れるとマイナスの影響
ただこれはあくまでも天気予報が当たるっていう前提での話です。
そのため、天気予報が外れてしまうと意味がないとか逆にマイナスの影響が出てしまうということがあります。
天気予報を見る人間に勝てない
じゃあ天気予報を最初から使わなければいいじゃんと思いますよね?
ただやっぱり天気予報のものを使わないと今の現時点のデータを元にしてしまいます。
そうするとこうベテラン農家の人とか天気予報をチェックして環境制御している人の制御に劣ってしまうことになります。
デメリット2 異常気象が起きると過去のデータや予測範囲から外れる
プログラムやAIによる自動制御のデメリットの2つ目は、異常気象が起きると過去のデータや予測範囲から外れることです。
最近、異常気象が本当に増えましたよね…。
「観測史上最高の気温」や「100年に1度の猛暑」、「史上最大の降水量」などがよくニュースで報道されるようになりました。
ここ数年は本当に異常気象が多くなってしまっています。
AIは過去のデータを学んで分析し、ベストな設定を考えます。
しかし、異常気象が増えたことで、現在や明日、将来の状況は過去のデータの範囲から外れてしまうことがあります。
過去には起きなかったような予測できない状態が起きてしまっているため、AIやプログラムでもベストな設定に導けないことが起きています。
過去にはなかった気温や降水量は想像できないですが、実際に起きています。
観測史上最大のようなことが起きると、予想範囲を超えてしまいベストな環境制御ができないため、これも1つのデメリットと考えられます。
デメリット3 能力が高い人間の設定を超えられない
プログラムやAIによる自動制御のデメリット3つ目は、能力が高い人間の設定をなかなか超えられないという点です。
例えば、100点満点の環境制御ができる人間がいたとします。
栽培が得意な人や栽培に詳しい人間がいたとします。
では、プログラムやAIを使って自動制御した場合、その100点満点の栽培ができるでしょうか?
現在のレベルではまだ100点は難しく、70点から90点ぐらいが多いです。
ただし、最新の研究では大学の中でAIと人間で環境制御の対決をして、AIが精度が高くなっているという話もあります。
今後はAIの方が人間よりも優れた環境制御ができる時代も来ると思います。
まだ現時点の2023年では、能力が高い人間にAIは勝てないのではないかと思っています。
また、プログラムの設定についても事前に設定を行わなければいけないので、異常気象が当たり前になった中で1年後を予測したプログラムの設定などは難しいです。
ただし、例えば将棋やチェス、囲碁、オセロなど、色々なゲームでAIが人間に勝つような時代がやってきました。
そのため、今後はAIがますます進歩して、人間よりもAIの方が賢くなって環境制御や農業の設定なども全てAIが行う時代はいつの日か来ると思います。
ただし、それがいつなのかという予測はなかなか難しいのが現実です。
環境制御システムのプログラムやAIによる自動制御のメリット・デメリットまとめ
今回は環境制御システムのプログラムやAIによる自動制御のメリット・デメリットについて解説しました。
次回は環境制御のケーススタディ【イチゴの促成栽培の前提条件】について解説します。
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