今回は農業DXいちごセミナーの環境制御システムの種類、個別制御と統合制御の違いを解説します。
農業DX、スマート農業、イチゴ栽培、環境モニタリング、環境制御に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。
環境制御システムの種類
まずは、環境制御システムの種類について説明していきます。
環境制御システムはまず大きく分けて、プログラムで動かしているものとAIで動かしているものの2つに分かれます。
さらに、このプログラムの中でも個別に制御するというものと統合的に制御するというものがあります。
AIについても同じですが、最初に申し上げておくと、AIを使っているシステムというものはまだまだ多くありません。
AI制御は非常に稀です。
ほとんどのものが何かしらのプログラムを用いています。
ただ、AIについても研究がどんどん盛んに行われており、今後伸びていく領域だと思っています。
プログラムとAIの違い
次に、プログラムとAIの違いについて簡単に説明します。
プログラムというのは、人間が条件と命令を先に指定しておいて、この目標に応じて人間が判断をし、こうなったらこうしなさいという指示をしておくものです。
それに対してAIというのは、人間が条件と命令を具体的に指定せずに、目標に応じてAIが何かいい感じにやりなさいという風に判断を委ねる方法です。
AI自身が人間の頭のように考えて判断をするというものになっています。
これが人工知能(=AI)と呼ばれる理由です。
ですので、一般的な制御システムというのは、例えばこの温度になったらこの動きをしなさいとか、この濃度になったらこういう動きをしなさいという風に指定しているものが多いので、ほとんどのシステムがプログラムで動いているということになります。
一方、AIを使っているシステムについては、細かな条件を指定しているわけではなくて、総合的に色々なデータを判断した上でAIがどうするのかを決めているということになります。
環境制御の個別制御
次に、個別制御と統合制御の説明をしていきます。
まず、個別制御の例です。
このような感じで、例えば加温機については温度センサーで制御するというやり方です。
例えば、室温が5℃になったら加温機を作動させなさい、みたいな設定にしておくとします。
そうすると、ハウスの温度が10℃の時には加温機はオンにならないんですけれども、室温が5℃になったら加温機がオンになるということになります。
これはそれぞれ別々の機械について設定がされまして、例えばミストについては湿度が何%になったらミストが出るみたいな制御になります。
CO2の発生装置については、CO2が何ppmになったらCO2発生装置が作動する、停止するみたいな設定になることが多いです。
それから、潅水頻度については土壌水分センサーを用いて土の湿度が何%になったら、または日射センサーを用いて光の強さがこれだけ積算で溜まったら潅水を1回流すみたいな感じの設定にすることが多いです。
そして、肥料の濃度については、例えばECのセンサーを用いてこの設定値になるように制御をすることを行います。
このように、環境制御装置に対する設定は、各センサーの部分がそれぞれバラバラにあるんですね。
バラバラにあって、それがバラバラに判断をして、バラバラに動いていきます。
環境制御装置1台ずつが独立して動くのが個別制御の特徴にです。
昔はこの個別制御のやり方しかなかったですし、今でもこのやり方を使っている農園が多いと思います。
環境制御の統合環境
次に統合制御の説明です。
統合制御とは、いろんなセンサーからデータを統合制御装置に送りまして、この統合制御装置から色々な機器に対して命令を送るという仕組みです。
先ほどの分散制御が分散してそれぞれバラバラに動いていたのに対して、今回は統合制御装置というのが一括して全てまとめて命令を送っているのが特徴です。
ですので、例えば温度センサーからハウスの室温データが送られて、日射センサーから光の強さのデータが送られて、それを元にこの温度、この光の強さの時はこういう制御にしようという風に判断をします。
そして、加温機にはオンにしなさいとか、換気にオフにしなさいとか、CO2発生装置にオンにしなさいみたいな感じに指示を出していくということになります。
この統合制御装置は複数のデータを処理して複数の機器を操作するのが特徴です。
昔はこういう統合制御装置は珍しかったです。
農園の大型化ですとか、色々な機器の最新へのアップデートに従いまして、日本でも大型の農園を中心にどんどん増えてきております。
環境制御システムの種類、個別制御と統合制御の違いまとめ
今回は環境制御システムの種類、個別制御と統合制御の違いについて解説しました。
次回は環境制御システムのプログラムやAIによる自動制御のメリット・デメリットについて解説します。
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