今回は農業DXいちごセミナーの環境モニタリング装置のメリット・デメリットを解説します。
農業DX、スマート農業、いちご栽培、環境モニタリング、環境制御に興味がある人は、ぜひ最後までお読みください。
農林水産省の環境モニタリング装置のメリット
農林水産省のウェブページに書かれている環境モニタリング装置のメリットについて説明します。
導入のメリットとして、データに基づく栽培によりハウス内の環境を最適に保ち、高品質化や収量の安定化が可能です。
収穫量の増加率は15%から25%となります。
また、遠隔地から環境を確認することや、ハウス内の環境を確認することも可能です。
農林水産省のウェブページでは、これらのメリットが主に2つあると説明されています。
環境モニタリングの本当のメリット
ここからは環境モニタリング装置の本当のメリットというテーマで話をしていきます。
メリット1 栽培が未熟な人の収量が増える
まず1つ目は、栽培が未熟な人の収量が増えることです。
例えば、新規就農した人や新規作物に挑戦した人、異業種から農業に参入した企業など、まだまだ栽培の未熟な面が多い人ほど収穫量の伸び代が大きいです。
そのため、環境制御に関するミスが多く、しかもそのミスに気がついていないことが多いです。
環境モニタリングをすることで、そのミスに気がつくことができますし、そのミスを直すことができます。
例えば、栽培のレベルが30点ぐらいだったとしたら、環境モニタリングをすることでそれを90点まで上げることができます。
それによって、収穫量が15%上がるとか、場合によっては150%に増える可能性も出てきます。
メリット2 気象や費用販売の変化に対応しやすくなる
環境モニタリング装置の本当のメリットは2つ目は、気象や費用販売の変化に対応しやすくなることです。
例えば、今年の2023年は猛暑や残暑に苦しめられた年でした。
ただ、来年も同じような状況になるかは分かりません。
また、今年は燃料の価格が非常に高かったことが問題になりましたが、来年も同じ傾向が続くかは不透明です。
さらに、今年の出荷初期の単価が高かったとしますが、来年も同じかどうかは分かりません。
気象や生産コスト、販売には変化が大きいため、栽培方法も変えていく必要があります。
特に環境制御はコストや販売時期の変動、気象の影響を受けやすいため、最適な環境制御は時期や状況によって変わっていきます。
環境モニタリング装置を使用することで、過去のデータやリアルタイムのデータをモニタリングすることができ、その時に最も適切な環境制御を行うことができます。
メリット3 企業は遠隔で見たいし比較したい
環境モニタリング装置の本当のメリット3つ目は、企業は遠隔に見たいし、それから比較をしたいというような要望があることです。
例えば、企業という経営体として農業に参入した場合、または法人化した場合ですね。
従業員に休日を与えなければいけませんし、それから企業が農業をやっている場合には圃場が必要です。
ハウスというのは必ずしも従業員の自宅の近くにあるとは限りませんし、本社のオフィスの近くにあるとも限りません。
この辺りはやっぱり個人農家との大きな違いかなと思います。
従業員というのは後から採用していきますし、本社オフィスの近くになかなかこの圃場が用意できないということが多いです。
そして企業の経営人の視点から見ると、従業員の業務にミスがないのかどうか監視したいとか、記録を残したい思いがあると思います。
それから企業として参入するのであれば、ハウスの数や圃場の数は1箇所だけではなく、どんどん他の地域に拠点を増やしていきたいという思いが多いと思います。
例えば、拠点を5箇所に増やしたい、10箇所に増やしたい、他の地域にどんどん広げていきたいという思いがあると思います。
それから別の農場とデータの比較をしたいという希望も出てくると思います。
例えば、すでに農業をやっている農場のデータと比較をしたい、もしくは自社で持っている3箇所の農場のデータの比較をしたいという要望が出てくると思います。
こういった時に環境モニタリング装置があると非常に便利です。
環境モニタリング装置のデメリット
ここからは環境モニタリング装置のデメリットについても説明していきます。
非常に大きなデメリットが1つあります。
デメリット1 植物のモニタリングを怠る
植物のモニタリングを怠るようになるという点です。
非常に多いのが、環境モニタリング装置を導入することで様々なデータが見れるようになることです。
例えば、温度や湿度が見れるようになります。
そうすると、そのデータを見て満足してしまい、植物がどういう状態にあるのか、その観察や色々なモニタリングをする頻度が落ちてしまうことがあります。
そうすると、植物の異常を見つけられないとか、生育が最適な狙い通りの形にならないということにつながっていきます。
デメリット2 環境制御のための環境制御になってしまう
これは、一言で言ってしまうと「手段の目的化」ということになります。
そもそも、環境制御をなぜやるのかと言いますと、植物を狙い通りの生育にするという目的のために環境制御という手段を使っています。
ただいつの間にか、環境制御を理想的な形にするために環境制御を行う、みたいな目的と手段が入れ替わってしまうもしくはごちゃまぜになってしまうことがよく起きます。
デメリット3 売上が増えず経費が増えて経営的にマイナス
じゃあ、その結果何が起きるのかと言いますと、まず無駄な経費が増えてしまいます。
収穫量が増えない、単価が上がらない、こういった問題が起きます。
環境制御を最適化しようと思うと、やっぱり燃料を色々使った方がいいよね、とか、やっぱりエネルギーをたくさん使えばその分効果が上がるよね、という風に考えるんです。
その結果コストは上がりますし、それをやったからと言って必ずしも収穫量が増えるとは限らないです。
品質がもし向上したとしても、品質が向上したと言っても販売単価が上がるとは限らないからです。
なので、環境モニタリング装置は導入すること自体はもちろん悪いことではありません。
けれども、しっかりこの辺りを意識しないと経営にとって全然プラスにならないということがあります。
これは、環境モニタリング装置だけではなくて、環境制御全てに言えますね。
環境制御をしたイコール経営にプラスになるかというと、必ずしもそうはならないということはご注意ください。
環境モニタリングのメリット・デメリットまとめ
今回は環境モニタリングのメリットとデメリットを解説しました。
次回は>>環境モニタリング装置の不都合な真実を解説します。
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