いちご栽培の疫病対策におすすめの農薬を紹介します。
疫病は炭疽病ほど有名ではないですが、炭疽病と同じくらい危険な病気です。
以下のカテゴリごとに疫病におすすめの農薬や農薬の特徴を紹介します。
- 有機栽培でも使用可能
- 育苗期間中におすすめ
- 定植時に使える粒剤
- 疫病の診断方法
- 農薬を使わない疫病予防
いちごを栽培していて疫病に悩まされている人は、ぜひ最後までお読みください。
いちご栽培の疫病に有機栽培でも使える農薬
いちご栽培の疫病に適用がある農薬を紹介します。
有機栽培でも使える殺菌剤
いちごの疫病に効果がある農薬で、有機栽培でも使える農薬はありません。
いちご育苗期間中におすすめの疫病対策の農薬
いちご育苗期間中におすすめの疫病対策の農薬を紹介します。
いちごの疫病は、本圃ハウスよりも育苗期間中に発生することが多いです。
そのため、疫病対策の農薬散布は育苗期間中に集中的に散布します。
本圃ハウス内では、ハウス内の気温が高い時期に発生しやすいです。
育苗期間中は花が咲かないので、受粉昆虫に悪影響がある農薬を優先的に使用してください。
育苗期間中は天敵製剤を使用しないことが多いので、天敵製剤に悪影響がある農薬を優先的に使用してください。
ミツバチやクロマルハナバチなどの受粉昆虫に悪影響がある農薬は、育苗期間中に使用するようにしてください。
育苗期間中は本圃で使えない農薬や使いにくい農薬を優先的に使ってください。
育苗期間中の疫病対策の農薬散布頻度
育苗期間中は疫病対策の農薬は、週に1回程度の散布頻度をおすすめします。
散布する農薬は作用機構が異なる農薬をローテーション散布してください。
いちごの育苗期間中におすすめの農薬リスト
いちごの育苗期間中におすすめの農薬を紹介します。
育苗期間中は、炭疽病や萎黄病も発生しやすいです。
疫病に効果がある農薬一覧
- リドミルゴールドMZ
- レーバスフロアブル
- ランマンフロアブル
- オラクル顆粒水和剤
疫病に効果がある農薬の有効成分
疫病に効果がある農薬の作用機構分類(RAC)と有効成分、使用方法を紹介します。
農薬名 | RAC | 有効成分 | 使用方法 |
---|---|---|---|
リドミルゴールドMZ | A4 M3 | マンゼブ メタラキシルM | 散布 |
レーバスフロアブル | H40 | マンジプロパミド | 散布 |
ランマンフロアブル | C21 | シアゾファミド | 株元灌注 |
オラクル顆粒水和剤 | C21 | アミスルブロム | 土壌灌注 |
疫病に効果がある農薬の特徴
リドミルゴールドMZは、育苗期間に3回使用できます。
レーバスフロアブルは、親株育成期に2回、苗床2回、本圃(収穫前日まで)2回使用できます。
ランマンフロアブルは、育苗期2回、生育期(収穫30日前まで)2回使用できます。
オラクル顆粒水和剤は、育苗期に3回使用できます。
いちごの育苗期間中の散布におすすめの農薬
こちらの農薬がおすすめです。
育苗開始前の浸漬処理におすすめな農薬
育苗開始前の浸漬処理とは、苗を農薬の希釈液の中に浸して、全体から農薬の成分を吸収させる処理のことです。
散布とは違い、株全体から吸収させるので効果が高いです。
疫病に効果がある農薬はありません。
いちごの苗の定植時に作条土壌混和する粒剤
いちごの苗を定植するときに作条土壌混和する粒剤を紹介します。
作条土壌混和とは、粒状の農薬を土壌と混ぜる処理のことです。
いちごの疫病対策に作条土壌混和できる農薬は、ユニフォーム粒剤です。
いちごの収穫期間中の散布におすすめな疫病の薬剤
いちごの収穫期間中に散布するのがおすすめの疫病の農薬を紹介します。
促成栽培の場合、収穫期間の冬は温度が低いので疫病は発病しません。
しかし、促成栽培でも秋や春には気温が高いので疫病が発病することがあります。
いちごの収穫期間中に疫病に登録適用がある農薬
いちごの収穫期間中に疫病に使える農薬はありません。
農薬を使わないいちごの疫病対策
農薬を使わないいちごの疫病対策を紹介します。
ウイルスフリー苗(メリクロン苗・茎頂培養苗)を親株に使用
いちごは茎頂培養処理をして、ウイルスフリー化をすると、疫病を取り除くことができます。
ウイルスフリー苗や茎頂培養苗、メリクロン苗と呼ばれる苗を購入すると、疫病を保菌していない親株を育苗に使えます。
ウイルスフリー苗は楽天市場でも買えます。
種子繁殖型品種よつぼしの播種苗を使う
いちごの中には、種子で苗を増やせる品種があります。
種には疫病が侵入しないので、種子から苗を育てると疫病を保菌していない苗を作れます。
種から育てた苗は、種子播種苗やプラグ苗と呼ばれています。
種から育てられる品種は種子繁殖型品種と呼ばれていて、3つの品種があります。
- よつぼし
- ベリーポップはるひ
- ベリーポップすず
かたつむりポットと点滴チューブ
かたつむりポットと点滴チューブを使うことで、頭上潅水をやめることができます。
疫病は頭上潅水によって感染が広がるので、疫病の感染が広がるのを防ぐことができます。
ただし、親株が疫病を保菌している場合は、その親株からランナーを介して子苗に感染します。
そのため、疫病を保菌していないクリーンな親株が必須です。
育苗ベンチで泥の跳ね返りを防ぐ
いちごの育苗をするときは苗を地面に置かずに、育苗ベンチの上に起きましょう。
育苗ベンチを使うことで、苗の潅水のときに泥の跳ね返りを防ぐことができ、疫病が伝染しにくくなります。
育苗器具を塩素で殺菌する
育苗器具は洗浄してから、塩素で殺菌しましょう。
農業用の器具殺菌剤はケミクロンGがおすすめです。
土壌を薬剤で殺菌する
クロルピクリンやキルパーを使って土壌殺菌をしましょう。
疫病の症状が現れたら苗を廃棄する
もし苗に疫病の症状が現れたら、治療するのは諦めてすぐに苗を廃棄してください。
症状が現れた苗の周辺に置かれていた苗も保菌している可能性があるので、周辺の苗も一緒に廃棄するのがおすすめです。
疫病の症状は以下のような症状です。
- クラウンが外側から侵されて枯れる
- 苗が萎れる
- 葉が枯れる
- 苗が枯れる
- ランナーが枯れる
疫病の症状は炭疽病の症状に似ているので、間違える場合が多くあります。
根腐れ病っぽく見える場合もあり、根腐れ病と間違えられる場合もあります。
いちごの病気が疫病か診断する方法
いちごに病気が発病したときにその病気が疫病かどうかを診断する方法が2つあります。
ナスを使って疫病か診断する方法
最初の方法には野菜のナスを使います。
ナスの実にいちごの病気が発生している部分を埋め込んで、ビニール袋に入れて湿度を高く保ちます。
そのまま30℃程度の場所に置いて、3日ほど放置します。
3日後にナスが茶色く腐り、白いカビが生えてきたら疫病です。
そうならない場合は、炭疽病などの別の病気の可能性が高いです。
クラウンを輪切りに切断して診断する方法
次の方法は症状が現れたいちごのクラウン(短縮茎)をカッターなどで輪切りにします。
その輪切りの断面が外側から内側に向かって黒色に変色していたら、疫病の可能性が高いです。
維管束が黒色に変色している場合は、根腐れ病や萎黄病の可能性があります。
クラウンが変色していない場合は炭疽病や別の病気の可能性があります。
農薬を使用するときの注意点
農薬を使用するときの注意点を説明します。
農薬は使用ルールを守ってお使いください。
農薬の適用などの最新情報を確認する
こちらのページで紹介している情報は誤っている可能性や古い可能性があります。
正式な情報は商品の公式サイトやメーカーにお問い合わせしてご確認ください。
こちらのサイトでは一切の責任を負いかねます。
複数の系統の農薬でローテンション散布をする
農薬には商品名とは別に、有効成分があります。
その有効成分は、数十個の系統に分類されています。
1つの系統に複数の有効成分があり、複数の農薬が存在します。
同じ1つの系統の農薬を連続して使用すると、病気や害虫がその有効成分に対して抵抗性を獲得しやすいです。
病気や害虫が抵抗性を獲得すると、その農薬が効きにくくなります。
そのため、農薬を散布するときは1つの系統を連続して使用せずに、複数の系統の農薬をローテンションしながら散布してください。
農薬の系統は「作用機構分類(RACコード)」を確認することで、どの系統の農薬か判別できます。
展着剤を混用するか判断する
展着剤を使用することで効果が高くなることが多いので、展着剤の使用を推奨します。
ただし、農薬の中には展着剤を使用しても効果がない農薬や使用すると薬害が発生する農薬があります。
展着剤を混ぜても良いかどうかは商品の公式サイトやメーカーにお問い合わせしてご確認ください。
混用や高温、低温などで薬害が発生するリスクがある
複数の農薬との混用や高温や低温によって、薬害が発生することがあります。
薬害とは、葉やガクの焼け、果実の汚れなどです。
ミツバチやクロマルハナバチに悪影響がある
農薬はミツバチやクロマルハナバチなどの受粉昆虫に悪影響があることがあります。
悪影響が出ると、ミツバチやクロマルハナバチが大量に死んだり、イチゴの花に寄りつかなくなります。
カブリダニなどの天敵製剤に悪影響がある
農薬はカブリダニなどの天敵製剤に悪影響があることがあります。
悪影響が出ると、カブリダニなどの天敵製剤が死にます。
いちご栽培の疫病予防と治療におすすめ農薬まとめ
今回はいちご栽培で疫病予防と治療に使用するおすすめの農薬を紹介しました。
疫病で悩んでいる方は参考にしてみてください。
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