いちご栽培の灰色かび病対策におすすめの農薬を紹介します。
以下のカテゴリごとに灰色かび病におすすめの農薬や農薬の特徴を紹介します。
- 有機栽培でも使用可能
- 微生物農薬で使用回数無制限
- 育苗期間中におすすめ
- 定植時に浸漬ができる
- 収穫中でも使える農薬
- 農薬を使わない灰色かび病対策
いちごを栽培していて灰色かび病に悩まされている人は、ぜひ最後までお読みください。
いちごの灰色かび病の症状
いちごの灰色かび病はその名の通り、灰色のかびが生える病気です。
カビが酷くなると果実全体をカビが覆います。
灰色かび病はヘタの付け根から発生することが多いです。
いちご栽培の灰色かび病に登録適用がある農薬
いちご栽培の灰色かび病に適用がある農薬を紹介します。
有機栽培でも使える殺菌剤
まずは有機栽培でも使える殺菌剤を紹介します。
有機栽培でも使用できる殺菌剤のFRACと有効成分
農薬名 | FRAC | 有効成分 |
---|---|---|
ボトキラー水和剤 | BM2 | バチルス・ズブチリス芽胞 |
インプレッションクリア | BM2 | バチルス アミロリクエファシエンス AT332株の生芽 |
カリグリーン | NC | 炭酸水素カリウム |
ハーモメイト水和剤 | NC | 炭酸水素ナトリウム |
有機栽培でも使用できる殺菌剤の特徴
ボトキラー水和剤はうどんこ病や灰色かび病の予防に効果があります。
インプレッションクリアはうどんこ病や灰色かび病の予防に効果があります。
カリグリーンはうどんこ病と灰色かび病の治療効果があります。
ハーモメイト水和剤はうどんこ病と灰色かび病の治療効果があります。
有機栽培でも使えるおすすめの殺菌剤
こちらの農薬がおすすめです。
人気のカリグリーンのような殺菌剤
使用回数の制限がない人気の殺菌剤カリグリーンのような殺菌剤を紹介します。
カリグリーンのような殺菌剤の一覧
カリグリーンのような農薬を3つ紹介します。
カリグリーンと似ていますが、有効成分や効果が少し違います。
カリグリーンとハーモメイト水溶剤は野菜類の灰色かび病への適用があります。
ジーファイン水和剤は野菜類の灰色かび病への適用がありません。
ジーファイン水和剤は、キュウリの灰色かび病への適用があります。
農薬名 | 有効成分 | 灰色かび病への適用 |
---|---|---|
カリグリーン | 炭酸水素カリウム | あり |
ハーモメイト水溶剤 | 炭酸水素ナトリウム | あり |
ジーファイン水和剤 | 炭酸水素ナトリウム 無水硫酸銅 | なし |
カリグリーンの特徴
カリグリーンはカリウムイオンが植物病原菌の細胞に入り込み、細胞内のイオンバランスを崩し、細胞機能に障害を起こし病斑を消滅させる効果があります。
炭酸水素カリウムは、耐性菌が発生しないと言われているので、連続使用できます。
また、炭酸水素カリウムは、防除効果を発揮した後、植物に吸収され肥料効果を発揮し、植物の成長を促進します。
ハーモメイト水溶剤の特徴
ハーモメイト水溶剤の有効成分である炭酸水素ナトリウムは、一般的に重曹と呼ばれています。
炭酸水素ナトリウムは、耐性菌が発生しないと言われているので、連続使用できます。
また、炭酸水素ナトリウムは、植物に吸収され、光合成の原料として利用されます。
ただし、カリグリーンよりも薬害が出やすいです。
ジーファイン水和剤の特徴
ジーファイン水和剤の有効成分は2つあります。
1つ目の有効成分はハーモメイト水溶剤と同じ、炭酸水素ナトリウムです。
2つ目の有効成分は無水硫酸銅という銅です。
ジーファイン水和剤には銅が含まれているので、うどんこ病の予防効果も期待できます。
銅が含まれているので、連続使用や幼苗への使用で薬害が発生するリスクがあります。
ジーファイン水和剤は、例えば以下のような農薬と混用ができません。
混用NG:粘着くん液剤、マイトコーネ、ゲッター水和剤、ジマンダイセン、ペンコゼブ、モレスタン
ジーファイン水和剤は、野菜類の灰色かび病に適用がないので、いちごの灰色かび病対策に使用できません。
ジーファイン水和剤は、野菜類のうどんこ病に適用があるので、いちごのうどんこ病対策に使用できます。
微生物資材で使用回数の制限がない殺菌剤
微生物資材で使用回数の制限がない殺菌剤を紹介します。
微生物資材とは、有用な微生物の働きで灰色かび病を予防する殺菌剤のことです。
微生物農薬一覧
商品名 | 有効成分 |
---|---|
ボトキラー水和剤 | バチルス・ズブチリス芽胞 |
インプレッションクリア | バチルス アミロリクエファシエンス AT332株の生芽胞 |
微生物農薬の特徴
使用方法は散布以外にも、煙霧やダクト内投入の方法があります。
使用回数は無制限なので、何回でも使用できます。
気温が低すぎたり高すぎると菌の働きが弱くなり、効果がなくなります。
灰色かび病が発生した後に使用しても効果が弱く、灰色かび病が発生する前に使用することが大切です。
他の殺菌剤と混用すると微生物が殺されてしまうので、混用しないでください。
おすすめの微生物農薬
こちらの農薬がおすすめです。
ボトキラー水和剤のダクト内投入がおすすめ
ボトキラー水和剤はダクト内投入という使い方ができます。
ダクト内投入とは、加温機などのダクトにボトキラー水和剤の粉をそのまま入れる方法です。
ダクトに小さな穴を開けて、そこにボトキラー水和剤の粉を少量ずつ毎日入れます。
大きなタンクで薬液を準備して、動噴と散布ノズルで散布する必要がなく省力的なのでおすすめです。
きつつき君でダクト内投入を自動化
出光アグリの「きつつき君」という商品を使うと、ダクト内投入の作業を自動化できます。
省力的に灰色かび病を予防したい人は、きつつき君を使ってください。
いちご育苗期間中におすすめの灰色かび病対策の農薬
いちご育苗期間中におすすめの灰色かび病対策の農薬を紹介します。
いちごの育苗期間中におすすめの農薬リスト
いちごの育苗期間中は、灰色かび病はほとんど発生しません。
理由は育苗期間中は花が咲かず、実がならないからです。
そのため、灰色かび病対策の殺菌剤は散布する必要がありません。
育苗期間中は、炭疽病や疫病などの病気が蔓延しやすいので、炭疽病や疫病に効果がある農薬を使ってください。
定植前や株冷蔵前の浸漬処理におすすめな農薬
定植前の浸漬処理とは、苗を農薬の希釈液の中に浸して、株全体から農薬の成分を吸収させる処理のことです。
散布とは違い、株全体から吸収させるので効果が高く、効果が1カ月ほど持続します。
浸漬ができる農薬
灰色かび病に対して浸漬処理ができる農薬はありません。
いちごの苗の定植時に植穴混和する粒剤
いちごの苗を定植するときに植穴混和する粒剤を紹介します。
植穴混和とは、粒状の農薬を苗を植える植え穴に入れる処理のことです。
いちごに植穴混和で灰色かび病対策に登録適用がある粒剤はありません。
いちご開花から収穫期間中の散布におすすめな灰色かび病の薬剤
いちごの開花から収穫期間中に散布するのがおすすめの灰色かび病の農薬を紹介します。
いちごの収穫期間中に登録適用がある農薬
いちごの収穫期間中は、実への薬害が少ない農薬やミツバチや天敵製剤に悪影響が少ない農薬を選んでください。
灰色かび病対策の殺菌剤の系統とFRACと有効成分
農薬名 | 系統 | FRAC | 有効成分 |
---|---|---|---|
シグナムWDG | SDHI剤 ストロビルリン系 | C7 C11 | ピラクロストロビン ボスカリド |
ファンベル顆粒水和剤 | ファンタジスタ ベルクート | C11 M7 | イミノクタジンアルベシル酸塩 ピリベンカルブ |
アミスター20フロアブル | ストロビルリン系 | C11 | アゾキシストロビン |
オルフィンフロアブル | SDHI剤 | C7 | フルオピラム |
アフェットフロアブル | SDHI剤 | C7 | ペンチオピラド |
パレード20 | SDHI剤 | C7 | ピラジフルミド |
フルピカフロアブル | AP殺菌剤 | D9 | メパニピリム |
ショウチノスケ | AP殺菌剤 チアゾリジン | D9 U13 | フルチアニル メパニピリム |
灰色かび病対策の殺菌剤の特徴
シグナムWDGは、2つの有効成分を含んでいます。
ファンベル顆粒水和剤は、2つの有効成分を含んでいます。
アミスター20フロアブルは、灰色かび病に対しては多発生条件では効果が劣ります。
オルフィンフロアブルは、灰色かび病にも効果があります。
アフェットフロアブルは、輪斑病にも効果があります。
パレード20は、灰色かび病にも効果があります。
フルピカフロアブルは、うどんこ病に対しては常温煙霧という処理方法が使えます。
ショウチノスケは、2つの有効成分を含んでいます。
おすすめの農薬
おすすめの農薬はこちらです。
農薬を使わないいちごの灰色かび病対策は電解次亜塩素酸水
農薬を使わないいちごの灰色かび病対策は、電解次亜塩素酸水です。
電解次亜塩素酸水による灰色かび病への効果
電解次亜塩素酸水は、いちごの灰色かび病に効果があります。
灰色かび病対策の電解次亜塩素酸水の効果
電解次亜塩素酸水をいちごに散布すると、灰色かび病の発生を減らすことができます。
イチゴ灰色かび病発生下において酸性電解水を散布した場合,無処理区に比較して酸性電解水散布区では,灰色かび病菌による被害果実の発生を抑制できることが確認され,茎葉,果実等への薬害もないことから,酸性電解水の散布により,農薬の散布同様,防除効果が得られることがわかった。
しかし,酸性電解水の散布をやめると発病果率が無処理区と同様になることから,防除効果の持続期間は 8 日程度で,酸性電解水の散布をやめると被害果実の発生が急速に増加する傾向があった。
酸性電解水によるイチゴ灰色かび病,キュウリ炭疽病の防除効果 https://jppa.or.jp/archive/pdf/68_07_08.pdf
灰色かび病対策の電解次亜塩素酸水の使い方
電解次亜塩素酸水は、10アールあたり200リットル散布します。
・生成直後の電解次亜塩素酸水を 10 アール当たり 200 リットル散布。
農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/council/sizai/tokutei_noyaku/14/attach/pdf/index-9.pdf
・生成直後の電解次亜塩素酸水を1株当たり 1.5~2 リットル散布。
電解次亜塩素酸水を作れる機械
電解次亜塩素酸水を生成できる小型の機械です。
花びらをブロワーで吹き飛ばす
いちごの花びらが落ちずに残っていると、その花びらから灰色かび病が発生しやすくなります。
そのため、ブロワーを使って花びらを吹き飛ばすのがおすすめです。
ブロワーはハウス内で持ち歩きができるように、バッテリータイプを使用してください。
農薬を使用するときの注意点
農薬を使用するときの注意点を説明します。
農薬は使用ルールを守ってお使いください。
農薬の適用などの最新情報を確認する
こちらのページで紹介している情報は誤っている可能性や古い可能性があります。
正式な情報は商品の公式サイトやメーカーにお問い合わせしてご確認ください。
こちらのサイトでは一切の責任を負いかねます。
複数の系統の農薬でローテンション散布をする
農薬には商品名とは別に、有効成分があります。
その有効成分は、数十個の系統に分類されています。
1つの系統に複数の有効成分があり、複数の農薬が存在します。
同じ1つの系統の農薬を連続して使用すると、病気や害虫がその有効成分に対して抵抗性を獲得しやすいです。
病気や害虫が抵抗性を獲得すると、その農薬が効きにくくなります。
そのため、農薬を散布するときは1つの系統を連続して使用せずに、複数の系統の農薬をローテンションしながら散布してください。
農薬の系統は「作用機構分類(RACコード)」を確認することで、どの系統の農薬か判別できます。
展着剤を混用するか判断する
展着剤を使用することで効果が高くなることが多いので、展着剤の使用を推奨します。
ただし、農薬の中には展着剤を使用しても効果がない農薬や使用すると薬害が発生する農薬があります。
展着剤を混ぜても良いかどうかは商品の公式サイトやメーカーにお問い合わせしてご確認ください。
混用や高温、低温などで薬害が発生するリスクがある
複数の農薬との混用や高温や低温によって、薬害が発生することがあります。
薬害とは、葉やガクの焼け、果実の汚れなどです。
ミツバチやクロマルハナバチに悪影響がある
農薬はミツバチやクロマルハナバチなどの受粉昆虫に悪影響があることがあります。
悪影響が出ると、ミツバチやクロマルハナバチが大量に死んだり、イチゴの花に寄りつかなくなります。
カブリダニなどの天敵製剤に悪影響がある
農薬はカブリダニなどの天敵製剤に悪影響があることがあります。
悪影響が出ると、カブリダニなどの天敵製剤が死にます。
いちごの灰色かび病対策を動画で解説
いちごの灰色かび病対策を動画で解説しています。
いちごの促成栽培の灰色かび病対策
いちごの促成栽培の灰色かび病対策を動画で解説しています。
いちご栽培の灰色かび病予防と治療におすすめ農薬まとめ
今回はいちご栽培で灰色かび病の予防と治療に使用するおすすめの農薬を紹介しました。
灰色かび病で悩んでいる方は参考にしてみてください。
いちごの灰色かび病についての詳細はこちらの記事をご覧ください。
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